世界遺産の顕著な普遍的な評価基準として、作業指針の中で10項目から登録基準が定められている。全ての世界遺産はこの10項目の登録基準から1つ以上認められている。
今回はその登録基準の中身と事例を紹介する。
登録基準とは?
登録基準は世界遺産の顕著な評価基準。
全ての世界遺産は10種類ある登録基準の中から一つ以上の基準が認定され、登録されている。
世界遺産は10種類あり、その登録基準は(i)〜(x)という形のローマ数字の小文字で表記する。
かつては文化遺産の登録基準(i)〜(vi)、自然遺産の登録基準(i)〜(iv)と分かれていたが、2005年の第6回世界遺産委員会特別会合にて作業指針が改定され、現在の形の文化遺産・自然遺産の共通の登録基準として(i)〜(x)となった。つまり文化遺産が(i)〜(vi)の六種類、自然遺産が(vii)〜(x)の四種類。2007年の第31回世界遺産委員会で審議される遺産からこの形で採用されている。
世界遺産検定では登録基準の中身まで覚えておいた方が良い(2級レベルではどの世界遺産がどの登録基準かは1問程度しか出題されない)。
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登録基準の内容と事例
登録基準(i)
人類の創造的資質を示す傑作。
↑ペルー「マチュ・ピチュの歴史保護区」。(i),(iii),(vii),(ix)。
登録基準(ii)
建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある機関または世界の文化圏内での重要な価値観の交流を示すもの。
↑ウズベキスタン「サマルカンド -文化交差路」。(i),(ii),(iv)。
登録基準(iii)
現存する、あるいは消滅した文化的伝統または文化の存在に関する独特な証拠を伝えるもの。
↑ミャンマーの「バガン」。登録基準(iii),(iv),(vi)。
登録基準(iv)
人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本。
↑キューバ「ハバナ旧市街と要塞群」。(iv),(v)。
登録基準(v)
ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本。または、取り返しのつかない変化の影響により危機にさらされている、人類と環境との交流を示す顕著な見本。
↑ラオス、「ルアンパバンの街」。(ii),(iv),(v)。
登録基準(vi)
顕著な普遍的価値を持つ出来事もしくは生きた伝統、または思想、信仰、芸術的・文学的所産と、直接または実質的関連のあるもの。(この基準は、他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
↑カナダ「ケベック旧市街の歴史地区」。(iv),(vi)。
登録基準(vii)
ひときわ優れた自然美や美的重要性を持つ、類まれな自然現象や地域。
↑ニュージーランドの「テ・ワヒポウナム」。(vii),(viii),(ix),(x)。
登録基準(viii)
生命の進化の記録や地形形成における重要な地質学的過程、または地形学的・自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要段階を示す顕著な見本。
↑ジンバブエ・ザンビアの「モシ・オ・トゥニャ/ヴィクトリアの滝」。(vii),(viii)。
登録基準(ix)
陸上や淡水域、沿岸、海洋の生態系、または動植物群衆の進化、発展において重要な、現在進行中の生態学的・生物学的過程を代表する顕著な見本。
↑南アフリカ「ケープ植物区保護地域群」。登録基準(ix),(x)。
登録基準(x)
絶滅の恐れのある、学術上・保全上顕著な普遍的価値を持つ野生種の生息域を含む、生物多様性の保全のために最も重要かつ代表的な自然生息域。
↑ナミビア の「ナミブ砂海」。(vii),(viii),(ix),(x)。
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これらの他、危機遺産というものもある。世界遺産を訪れる機会があるとき、どんな基準で登録されているのか考えながら、またその歴史にも目を向けてみると理解が深まるだろう。
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