【世界遺産4】世界遺産の分類:危機遺産(危機にさらされている世界遺産)と負の遺産

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世界遺産は「顕著な普遍的な価値」(Outstanding Universal Value)を持つ遺産であり、「顕著な普遍的な価値」とは国家や文化、民族、宗教、性別などの枠組みを超えて人類全体にとって、現在だけでなく将来世代にも共通した重要性を持つものである。

そんな世界遺産の中で危機にさらされているとされる「危機遺産」と人類が犯した過ちを記憶に留める「負の遺産」がある。ここではそれらがどのようなものか紹介する。

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世界遺産の分類

世界遺産の分類はご存知のように「文化遺産」「自然遺産」がある。登録過程において担当している機関が異なる。

それぞれ各国政府から推薦されたものから、文化遺産についてはICOMOS(International Council on Monuments and Sites; 国際記念物遺跡会議)が、自然遺産についてはIUCN(International Union for Conservation of Nature; 国際自然保護連合)が調査してユネスコ世界遺産センターに調査結果を報告する。

その後に世界遺産委員会で候補地を審査、世界遺産リストの登録を決定するという流れになる。なお政府が世界遺産センターに推薦書を提出してから登録決定まで一年半ほどの期間を有する。

なお文化遺産と自然遺産の双方に登録される場合は「複合遺産」となる。

今回はそのさらに下流の分類、危機遺産と負の遺産についてである。

危機遺産とは?

危機遺産とは遺産価値の損なわれる危機にある世界遺産であり「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録されている世界遺産。

公表することによって世界各国からの協力を仰ぎ、危機からの脱却を目指すのがリスト化の目的で1979年から始まった。

登録基準には確定された危機と潜在的な危機がある。

危機遺産リストに記載された場合、遺産の保有国は世界遺産委員会の協力のもと、保全計画の作成と実行が求めあれ、世界遺産基金や各国政府、民間機関などから財政・技術的援助を受けることができる。

危機遺産リストに記載された遺産の保全状況についてはリアクティブ・モニタリングを行って毎年審議を行う。

また世界遺産となっていなくても、顕著な普遍的価値があることが明らかで暫定リスト記載の遺産の場合、緊急的に世界遺産登録とともに登録することができる(緊急的登録推薦)。

危機遺産リストから抹消された例としてドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」に橋を建てた事例がある(2009年)。

他にもシリアやパレスチナなど中東が目立つ。

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この写真はオーストリアのウィーン。オーストリアのウィーンも都市開発による景観破壊の懸念から2017年より危機遺産に登録されている。

負の遺産

負の遺産は世界遺産条約で定義はされていないが、近現代の紛争や人種差別などの教訓とする遺産。非人道的な遺産。

平和や人権を扱う教育、ダークツーリズムの観点から注目されている。

例として「アウシュヴィッツとビルケナウの強制収容所」、「広島平和記念碑」、「ゴレ島」(セネガル)、「ロベン島」(南アフリカ)が挙げられる。

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世界遺産の分類は大きくは「文化遺産」「自然遺産」であるが、他の分類も覚えておくと良いだろう。

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