気が張っていれば睡眠時間が短くてもなんとかなる。特に旅の途中は目が覚める。いや、実際は目が覚めなくてひやっとした経験もある。
クスコで迎えた2020年の元旦も、ちゃんと日の出前に目覚めることができた。
正直日の出に間に合うかどうか自信がなかったし、起きられなくてもいいと思っていた。だが、ちゃんとスマートフォンからなった爆音の椎名林檎のNipponで目が覚めた。というか深い眠りにつけていなかったようにも思える。
偶然にも手に入れたカサデルインカのシングルルームで目を覚ました私は、とりあえず暖かい格好にする。
南半球で赤道が遠くはない地域の夏とはいえ、標高3,000mを超えるクスコの街では朝晩はかなり冷え込む。ハイスペックなアウトドアメーカーのインナーに適当なシャツ、ユニクロの薄いフリースにウルトラライトダウン、ノースのポリエステルのアウターを羽織る。それでもまだちょっと寒いぐらいだ。
シングルルームを出たところでちょうど日の出の提案者に出会う。
「おはようございまーす。寒いっすね」
「おはようございます、起きられたよかったです。何時ぐらいに寝られたんですか?」
「1時半ぐらいには寝ましたよ」
そんな話をしながらバルコニーに向かう。外はまだ暗く、時に爆竹のような音が聞こえる。
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バルコニーまで登って外を見ると当然ながらアルマス広場はかなり人が減っていた。バルコニーには昨日一緒に初日の出を見ると言っていた日本人が数名集まってきた。
「スマートフォンで調べると5時ぐらいが日の出ですけど、標高高い上に山に囲まれているからちょっと遅いんでしょうね」提案者の彼が言う。
そんなことを言いながら我々はお湯を沸かして謎のお茶を用意したりする。やはり温まりたい。
「向こうからの日の出っぽいですよね。雲ありますねー」
確かに日の出方向は雲がある。すっきりとした初日の出は難しそうだ。それでも雲の隙間からだんだん明るくなってきた。
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晴天とは言わないまでもクスコの日の出は幻想的で、2020年の幻想的な幕開けを予感させる。
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カウントダウンの余韻と共に、新しい年が幕を開けた。
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(完)
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