予定通りではあるのだが12時台に下山するとその後に何をやればいいのか困ってしまう。
何かアクティビティをするには疲労している上、明日の登山のことを考えると体力は残したい。
そう、昨日の羅臼岳、今日の斜里岳、明日の阿寒岳(雌阿寒岳)で今回の登山旅は完遂だ。正直飛行機で帰る日にも山に登るのはいかがなものかとも思ったが、まぁ斜里岳であった三人衆も私より早い便にも関わらず阿寒岳に登るとのことで私も登ろうと決心したのだった。登らないのであれば網走なり全然違うところに行ってダラダラと過ごすのもありだったが、それは性格上合わない説がある。
斜里岳を後にすると、もうその斜里岳の頭には雲がかかっている。やはり登山は朝なのだ。
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さて、下山した後は食事と温泉(と次の登山)のことしか考えられないのはいつものこと。案の定ではあるのだが清里を離れるとあっという間に山道に入ってしまいコンビニも何もなくなった。今あるものを食べて1時間ぐらい走るか。
羅臼に向かっていた時も思っていたのだが北海道の道はカナダやニュージーランドをフラッシュバックさせる。広い道に針葉樹林。ケッペン氏のいう亜寒帯湿潤気候(Dfb)かなと思っていたが、ニュージーランドは温帯だ。また土地の雰囲気も似ている気がしたが北海道とニュージーランドは環太平洋造山帯(新期造山帯)、カナダ東部のモントリオールあたりは楯状地だからそれも違う。たまたま走ったエリアが似ていただけであろうか。
そんなことはどうでもいいのだが、Podcastを聴いていたらようやくセイコーマートに着いた。13時半ごろで何ご飯に該当するのかわからないが、ピンとくるものがなくヨーグルトと唐揚げを買っておいた。個人的にはアメリカンドッグが食べたかったのだがないものはない。
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程なくして阿寒湖畔キャンプ場に着いた。予約はしていないが一応下調べだけはしておいたため割とスムーズ。この辺りにはキャンプ場がオントネーにもあるようだったが、登山口に近い気がしてこちらを選んだ。しかしこの後決めた登山口はここが最寄りではないようだったが、20分ぐらいで着く距離なので良いことにしよう。
受付でお金を払い登山について伺う。
「あー、登るのね。雌阿寒温泉からだと近いみたいね。オントネーから登る人もいるみたいね」のようなことを仰せになる。要はわからないようだ。ちゃんと登山案内の簡単なパンフレットがあるのでいただくことにする。
テントを張る場所について「今日は団体さんがこの辺りに泊まるみたいだから・・・」と超重要情報をくれた。
その場所からかなり離れたところ、割と入り口近くにテントを張る。しばらくして今日の寝床が出来上がる。さて、そんなことより温泉だ。この阿寒湖畔キャンプ場はその名の通り阿寒湖に近く、温泉もたくさんあるらしい(全然知らなかった)。
キャンプ場を出て横断歩道を渡るとすぐに阿寒湖畔の観光地。アイヌ民族の民芸品やらレストランやらが立ち並ぶ楽しそうな商店街だ。
今回はひとり旅なのでそういった類はストイックにスルーして温泉だ。キャンプ場の受付の方が「この温泉は安いけれど石鹸がなくて・・・」と話されていたがメモも取っていなかったためさっぱりわからぬ。しょうがないからグーグル先生にお伺いを立てるといくつか出てきた。ホテルの中の温泉を日帰りにも開放している系で登山下山しましたみたいな雰囲気の私に取っては入りにくい系だ。仕方ないためそのうち一つに決心して入ることにした。
ここ。クローズ系の落ち着いた露天風呂でオススメ。
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登山の跡というのはランダムにお腹が空く。そもそも朝3時とかに起きる時点で昼ごはんを何時に食べればいいかわからないし、それに釣られて夜もわからない。食事だけならともかくいつ寝ればいいかもわからなくなる。
つまり、腹が減った。
この阿寒湖畔の観光地は素晴らしいことにローソンもあるしセイコーマートもある。北海道にきたが飲食店で食べる気は全くなかったため、ローソンでつまみやら明日の昼食やらなんやらを購入した。
キャンプ場へ戻り、持ってきた食料やらをお酒と共にいただく。もう運転はしまい。本を読みながら、クラシックを聴きながら外で食べる食事は最高だ(ちょっと蚊が鬱陶しいが)。
TRANSITを読み終わると、次の本を読む気分ではなくなった。18時半。まだ日の入りにはちょっと早いが、阿寒湖でのんびりしながら夕日でも眺めよう。
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本日二度目の阿寒湖。
残念ながら晴れているとは言い切れず、夕日は望めなさそうだ。
せっかくきたので遊歩道に沿って阿寒湖を歩いてみると無料の足湯があった。そこへ浸かり、ぼーっとしてみる。悪くない。が、ぼーっとするのなんて5分もすれば飽きる。
程なくして戻ろうとするが、この足湯のある遊歩道、どうやら夜は有料だかなんだかで、ゲートが閉じられていた(簡易的だったので抜けられたが)。
無性にサンドイッチが食べたくなり、先ほどのローソンでミックスサンドを購入、キャンプ場に戻った。
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問題はここからだ。
前述のようにこのキャンプ場、学生の団体が泊まっていやがる。それはやむを得ない、遠くに陣取っていたのだが、その近くの炊事場に見る見る諸人こぞりて。困りぬ。彼らのテントの近くに炊事場があったためそちらで調理してくれると読んでいたのだが、どうやら何か違ったみたいだ。
平たくいってやかましい。
まだ日も完全には落ちていなかったので私はテントを移設する決心をした。
奥まったところにテントを移設していると、その近くに陣取っていた人が「全部移動するんですね」と声をかけてきた。彼も登山用のテントで、一人で来ているようだった。
「はい、ちょっとあそこだと寝れない気がして・・・静かにするので大丈夫ですよ」と返す。
「確かにあれは・・・大丈夫ですよ」と。
移設した椅子に腰掛けて音楽を耳元で大きめにかけて先ほどのサンドイッチを食べた。美味しい。
しかしくつろぐ気にはなれず、時間も20時を超えてきたのでテントの中に入った。が、とても寝られるような静けさはなく、クラシックの音楽を聴いたり本を読んだりして気を紛らわした。
彼らに罪はないが、一人ないしは二人で楽しむ人が多い今日のこのキャンプ場であの集団はなかなかなものである。眠りを妨げやがり罪深い奴らによっぽど大学名でも聞いてやろうかと思ったが、大人のため堪えた。身に覚えのある人は謝罪を願いたい。とも思う一方、私とて大勢集まってキャンプ場で騒ぐやつがいたことがある。
事前に告知するなり、むしろそういうキャンプ場を作ってしまうなり、そういうふうになっていくと朝早い登山者だけでなく、自然を満喫したいキャンパー達も幸せになれるだろう。採算が取れるかはまた別の話なのだが。
気がつけば、22時ごろには彼らは静かになっていた。許さざるを得ない。
そんな北海道旅最後の夜が深くなっていった。
(続く)
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