地球温暖化によって北極海が溶け、新たな航路となることが期待されていることはしばしばニュースで耳にする。これまでヨーロッパとアジア・アフリカは例えば地中海・ボスポラス海峡を通って結ばれていたが、それが北極で距離がぐんと近くなるというものだ。
当然未知のことも多く、また環境破壊によって生じる事象なので全く喜ばしいことではない。
では南極はどうだろうか?今回は南極に焦点を当てる。
南極とは?
南極は英語でアンタークティカと呼ばれており、オーストラリア大陸の約2倍の面積があり、地球で5番目に大きい大陸。約98%は氷で覆われており、その厚さ平均は約2km。
1820年にイギリスのブランスフィールド、アメリカのパーマー、ロシアのベリングスハウゼンの3人のうちの誰かが発見したということになっている。
それ以前に1773年にイギリスの冒険家で有名なクックが南極まで約121kmのところにまで近づいたとされているがその時は発見には至っていない。
御察しの通りとても寒く、2018年7月には-97.8℃を観測。
定住者はいないが、研究所などの機関には年間通して約1000〜5000人が生活している。
南極の保護
当然南極にも生物がおり、資源がある。
アメリカは1978年にAntarctic Conservation Actを採択し、自らの行動に制限を加えている。
また1980年には南極の海洋生物資源の保存に関する条約(CCAMLR)は南極全体の生態系に及ぼす潜在的な影響を考慮し、漁業活動を制御するように定めている。しかし、アイナメが密猟されアメリカで売られている。
生物に関しては1998年に環境保護に関する南極条約議定書(マドリッド議定書)が発効されている。外来生物の持ち込みにも注意が図られている。
南極大陸からは石炭、石油、天然ガスの他、コバルトなどの鉱物資源や宝石が発見されているが、1991年の南極環境保護条約により採掘は制限され、1998年のマドリッド議定書で2048年まで禁止された。
観光の側面では、南極は例えばアルゼンチンからのフェリーによる観光などが行われている1957年から行われ、その内容は国際南極旅行業協会が定める内規に基づいている。
南極は誰のもの?
南極は誰のものだろうか。これが今回の論点だ。答えは、現時点では南極大陸はどこの国のものでものない、が答えだ。そう、現時点では、である。
1907年にイギリスの他、南極に近いニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン、チリの他、フランス、ノルウェーが領有権を主張。
この時の形はセクター理論と呼ばれている。
当然ロシア(当時ソ連)やアメリカはそれを認めず、第二次世界大戦時に棚上げされる。
1959年に南極条約が批准され、以降、この南極条約体制がひかれている。1959年には12ヶ国からスタートしたが、その後49ヶ国まで増えている。
南極条約は軍事的活動、鉱物採掘、核爆発、核廃棄物、領有権の主張を禁止している。
なんとこの南極条約、期限が2048年までとなっているのだ。
どうなる?アフター南極条約
南極条約が切れる2048年、どのような時代になっているかはわからない。
しかし2048年が近くなるにつれてこの南極条約は話題に上がり、メディアにも取り上げられるようになるだろう。
シナリオとして考えられるのは
①南極条約の延長
②列強による再分割
③独立国家の形成
だろう。どうなるかは環境問題の変化にもリンクする。このまま温暖化が進み氷が融解すれば地下資源へのアクセスも良くなり開発しやすくなる。人間が住める環境が人口的に形成されているかもしれない。投資の対象として盛り上がり、マーケットの火付け役になる可能性も高い。不動産として売買され、巨大な資金力を持つ国家や企業が土地を購入する可能性もある。
どうなるかは当然不明であるが、確実に迫る時限爆弾であることは間違いがない。
世界がどうなっていくか、積極的に見守る、関与しようではないか。
北極に関してはこちら。
コメント