ゼレンスキー ウクライナ大統領、世界各国でかく語りき。世界各国での演説のまとめ

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2022年3月23日、日本の国会議員を前にウクライナゼレンスキー大統領は以下の旨を語った。具体的内容や詳述は正当なメディアに詳しいためそちらに譲るが、世界を憂う一日本国民として、いかにそのポイントを述べる。

日本での演説の前に・・・

日本での演説に関しては衆議院議員・参議院議員の前で約10分間、オンライン形式で行われた。

実施の可否について与野党から多くの意見が出されていたという。

立憲民主党の泉代表は「調整なしではあり得ない」と言ったとされる。この部分だけ切り取ると批判が多く集中するのであるが、日本での演説の前に各国でも演説を行なっており、例えばアメリカやイギリス、イスラエルには武器の供与等の打診をしていた。日本はなんとか防弾チョッキを供与できたものの、武器の供与ができるような国家ではない。

アメリカ等の演説を踏まえればゼレンスキー大統領が何をいうのかヒヤヒヤするというのもわかる。与党側は立場的に「ノーとは言えない」ため賛同していたと推定される。

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各国での演説スタイル

ゼレンスキー大統領はイギリスではチャーチルの演説やハムレットを引用、アメリカではパールハーバーや911テロに言及している。

ゼレンスキー大統領はコメディアン、俳優であり、演出に長けている。側近にもメディア関係のものも多いという。

以下、演説の内容を一部抜粋した。

EU議会(3月1日)

「価値観や権利、自由のために、あなた方と家族になりたい、あなた方と対等な存在になりたいという願望のために、われわれはいま、最も強くたくましいウクライナ人を犠牲にしている。並外れたウクライナ人を。」

「「ウクライナがヨーロッパを選ぶ」という表現がある。私たちが目指していたもの、向かっていた目標だ。そして、私はあなた方から「ヨーロッパが選ぶウクライナ」ということばが聞きたい。」

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英国(3月8日)

「「生きるべきか、死ぬべきか?」。

あなた方はこのシェイクスピアの言葉をよく知っていると思う。13日前は、まだこの質問がウクライナに提起される可能性があった。しかし今は違う。返事は明らかに「生きるべき」。明らかに、自由であるべきだ」

「われわれは、海で戦い、空で戦い、どれだけ犠牲を出そうとも、我々の領土を守り抜く。われわれは、森の中で、野原で、海岸で、都市や村で、通りで、丘で戦い続けます。」(1940年、イギリスがナチスドイツと戦ったときのチャーチル首相の演説をなぞらえる)

カナダ(3月15日)

「午前4時に爆発音が聞こえ、子供たちがそれを聞くことを想像してほしい。ロシアによって破壊されたことを子供たちに説明する言葉を探していると想像してほしい」

アメリカ(3月16日)

「パールハーバーを思い出してほしい。1941年12月7日の恐ろしい朝。あなたたちを攻撃してきた飛行機のせいで空が真っ黒になったとき。それをただ思い出してほしい。

9月11日を思い出してほしい。2001年の恐ろしい日、悪があなたの街を戦場に変えようとしたとき。罪のない人々が攻撃されたとき。空から攻撃された。誰も予想できなかった形で。」

「「私には夢がある」。このことばを、あなた方はみな知っている。きょう私が言えるのは次のことだ。私には必要がある、それは、私たちの空を守ってくれること。あなた方の決意、あなた方の支援。それは全く同じことを意味しているのだ。あなた方が感じていることと同じだ。あなた方が「I have a dream」を聞くときのように。」

「ウクライナ上空の飛行禁止区域の設定は人々を救うことになる。人道的な飛行禁止区域だ。ロシアがこれ以上、毎日毎晩われわれを恐怖に陥れられなくするための条件だ。もしこれが過剰な要求であれば、私たちは代わりにS-300やそれに類するシステムを使わせてほしい。」

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ドイツ(3月17日)

「今、ヨーロッパの中心にはベルリンの壁ではなく、自由と自由でない世界の間に壁が出来ている。爆弾が落ちるたび、ウクライナを助ける決定が遅れるたびにその壁はどんどん高くなっている」

ロシア産の天然ガスを輸送する「ノルドストリーム2」の計画を進めてきたことなど、自国の経済を優先する政策をとってきたと批判。

イスラエル(3月20日)

「イスラエルのミサイル防衛システムが最高であることは誰もが知っている。あなた方は間違いなくウクライナの人々、ウクライナのユダヤ人の命を救うことができる」

「わが国民は今、かつてのあなたたちと同様、安全と平和な暮らしを求め世界中をさまよっている」

イタリア(3月22日)

「(イタリア北部の港湾都市)ジェノバが完全に燃えてしまったと想像してください」

「殺人者たちのリゾートになってはいけない。彼らの全ての不動産、口座、シェヘラザードから小型のヨットまでを差し押さえて」(イタリアがロシア人のバカンスの地になっていることから)

フランス(3月23日)

ルノー等に対して「ロシアの兵器のスポンサーであることをやめるべきだ」「自由・平等・博愛」の精神にも言及。

スウェーデン(3月24日)

ゼレンスキー大統領はスウェーデンでの演説でウクライナのEU加盟容認を要請し、「ウクライナは自国民のためだけでなく、欧州の安全のために戦っており、EUに正式加盟するに値することを示している」と述べた。

ノルウェー(3月30日)

産油国でもあるノルウェーに対して、「EU諸国とウクライナに必要な資源を提供することによって、欧州のエネルギー安全保障に決定的な貢献ができる」と語った。

またロシア船舶が欧州域内の港湾の使用を禁止するようにしてほしいと述べた。

オーストラリア(3月31日)

「この邪悪な侵略に対して戦う者に武器を持たせなければならない。オーストラリアは非常に優れた装輪装甲人員輸送車のブッシュマスターを持っている。ウクライナ軍はこのような装備を必要としている。供与してもらえるなら感謝に堪えない」と輸送車を要望(オーストラリア政府は快諾)。

「この戦争もウクライナの自由と尊厳と独立を打ち砕くことはできない。しかし、ロシアのこの侵略者は邪悪な性格であり、処罰せずにおくなら他の国もウクライナと同様の目に遭うことだろう。ウクライナで起きていることはオーストラリアとオーストラリア国民に対する脅威でもある。どんな距離も超えて生命を破壊するだろう」

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国際連合安全保障理事会(4月5日)

「侵略に対抗し、平和を確保する目的で設立されたこの重要機関が効果的に機能していないのは明白である。」

「この機関の目的、それは平和が尊重の維持である。いまや国連憲章は第1条から反故(ほご)にされている。そんな状況で残りの条文に何の意味があるのか」

日本で何を語ったか

各国では強めの言葉で買ったが、日本に対しては武器を要求する内容はなく、基本的に経済制裁の強化を要求したに限り、物議を醸し出す内容はなく、穏便な内容であった印象だ。

日本に対しては近年の悲劇を想起させる内容を多く語る。

「チェルノブイリのことをご存じだろう。ウクライナにある原子力発電所で、1986年に大きな爆発事故が起きた所だ。放射性物質が放出され、地球上のさまざまな場所で影響が出た。今も原発の周囲30キロ圏内への立ち入りが禁止され、汚染された多くの資材やがれきが土の中に埋もれたままとなっている。」

「国際機関が機能しなかったことを目の当たりにしたと思う。国連や安全保障理事会でさえも…。いったい何ができるのか。機能するため、ただ議論するだけでなく真に決断し影響力を及ぼすためには、改革、そして誠実さが必要だ。」

演説の中では「サリン」や「津波」と言った単語も使われた。

* * *

目が離せないウクライナ情勢。

ゼレンスキー大統領の勇気に賞賛し、ウクライナに栄光を願わずにはいられない。

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