【ミャンマー ヤンゴン】土色のヤンゴン。夢見るミャンマー。イラワジ川の寺院。

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TRANSITという雑誌がある。特定の国やテーマにフォーカスした厚さ1センチぐらいのカルチャー誌で四半期に一度発行されている。奇界遺産という世界の奇妙なものをひたすら載せた写真集で有名なフォトグラファーの佐藤健寿が写真や文を提供していたりする。美しい写真や挿絵、エッセイもあり、旅行記もある、癒される本だ。

私はTRANSITの存在を知るのが遅く、創刊号から見ているわけではない。しかしメルカリで興味があるバックナンバーを買い漁ることもしてみた。お金と暇と引き換えに、旅を少しでも楽しむための知識とモチベーションを高める。

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この日の朝は、雨は降っていないもののイラワジ川の色と見分けがつかない土色の空がヤンゴンの街を覆っていた。湿っぽいゲストハウスはカプセル状で寝心地は悪くない。

今日は短かったミャンマーの旅を終える日であり、だがフライトは夕方なので時間は十分にある。昨日ヤンゴンを見て回ったが、途中で天気が崩れたこともあってまだ街中を十分に歩いてはいない。午後からは見ておきたいところがあるから、今日の午前中がチャンスだ。私は荷物をゲストハウスに預け、ヤンゴンの街を歩くことにした。

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改めて歩いてみてもヤンゴンの街はエネルギー感がすごい。多民族国家の経済的な首都であるだけあり、ビルマ人を筆頭に、中国系、ベトナム系、マレー系、インド系とわんさかいる。自動車の密度もさることながら、人の密度も濃ゆい。

地球の歩き方を見る限り、線路沿いに市場やスーパーマーケットがあるようだからそこにいってみることにした。ゲストハウスからはそんなに遠くない。気がつけば空は青くなっている。

ヤンゴンの街に溶け込んだ市場と、その横に全くヤンゴンの雰囲気から浮いているショッピングモールがある。スーパーマーケットはここの中を指すようだ。このコントラストが凄まじい。まずはヤンゴン的市場にいってみることにする。

ヤンゴン的市場は野菜等が販売されているのではなく、旅人には全く縁がないような靴、謎の布、鞄などが売られていた。他の国でもいろんな食べ物やお土産物が売られている市場だと思って行ってみても全然通りがかりの旅人の興味をそそらない市場だったりすることはしばしばあるため、ここについても特筆事項は全くない。

問題は隣のショッピングモールだ。ショッピングモールの前にはKFCだかがあり、グローバルチェーンをようやく目にした。まだ開国してそんなに時間が経っていないポテンシャルのある国ということを如実に物語っている。

ショッピングモールは2階からも入ることができた。入るときには荷物チェックがあった。私のような姿でも入ることはできるようだ。

モールは外観だけでなく中も非常に綺麗であり、カオスなヤンゴンの街を見てきたから感じるのだろうか、なんなら日本のそれよりもだいぶ高級感がある。六本木とか表参道とかそういうオシャレを気取ったエリアにあっても驚きはない。

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中には確かにスーパーマーケットはある。イギリスかどこかの資本が投入されているのだろう、綺麗すぎ、成城石井もびっくりなぐらいだ。しかし置かれている加工食品はヨーロッパ等からの輸入品ばかり。グラウンドフロアにはテカテカの自動車が展示されていたりする。要は、そういうことなのだ。隣の市場や街で逞しく生きている人たちとのコントラストに嫌な気持ちになるが、日本に生まれて自腹でミャンマーにきている時点でこっち側の人間なのだろう。不愉快な無力感だ。

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ヤンゴンの中心にあるパゴダに行ってみたり、適当に歩いたり、イギリスが植民地の時に作ったコロニアルスタイルのヤンゴン中央駅をみたりした。この駅、WW2の時にイギリス軍は攻め入る日本軍から撤退するときに壊したため、1954年にミャンマーが再建したものみたいだ。

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今回は乗る機会にも時間的精神的余裕にも恵まれなかったけれど、このヤンゴンの鉄道は環状運行をしているみたいだから、よっぽど暇なら乗ってみたかった。

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地球の歩き方とコンデジを片手にヤンゴンの街を歩く。歩き方に書いてあるレストランに入ろうにも、なんとなく度胸が出ず、いや、単にめんどくさかっただけかもしれないが、結局無駄にたくさん歩いた。一応歩き方にひっそり書かれているレストランに入った。

この国のローカル料理はすごい。ビジュアルだけは食欲を注ぐのだが、何を食べても美味しくない。美味しいのがオイリーなインドカレーやなんの工夫もしていない串焼きという。

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たくさん歩いて疲れたのでゲストハウスに戻ることにする。次の目的地は、TRANSITのミャンマーの表紙にもなった、イエレーパゴダだ。

このイエレーパゴダ、アクセスが悪く調べた限りは公共交通機関で行くことが一応できそうだ。とりあえずフロントで情報を取る。

「イエレーパゴダに行きたい。どこからバスを乗ればいいのかな?」

「バスで行く?無理だよ。一応あるんだけど、本数とかないし、この時間だと夕方には帰られないよ」

本当かどうかわからないが、不可能通知を出されてしまった。

「え、一応行けるんでしょ」

「そう、ここのバス停から・・・」

丁寧に絵を描いて教えてくれるが、なんか複雑で結構難しそうだ。飛行機もこそ乗り遅れれ。

「なんか難しいね・・・タクシーで行くから呼んでくれないかな?」

「そうだよ、絶対迷うしやめたほうがいいよ。呼んであげるね。僕の友人なんだ」

一番最後の「友人なんだ」とかいうのが一番胡散臭いがまぁいいことにしよう。

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「イエレーパゴダの後に飛行機に乗るから空港まで送って欲しい」

「わかった。そう伝えるね」

話がまとまり、タクシーをチャーターして回ることにした。

「どのタクシーかわからなくなるかもしれないし、悪さされないためにタクシーと運転手は写真撮っておいたほうがいいよ」と助言された。

20分ぐらいだろうか、ぼーっとゲストハウスで待っていると呼び出された。私は荷物を持ってフロントで礼をいい、階下に向かう。タクシーの運転手に行きたいところと自己紹介をする。どうやらそんなに英語を喋られないようだ。当たり前か、これまでのタクシーの運転手やウェイの英語力が高かっただけで勘違いしていたみたいだ。

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イエレーパゴダに向かう道。

ダウンタウンから離れるにつれて道は未舗装になり、木々も多くなる。窓から見える建物は押せば倒れてしまいそうなものばかり。タンクトップで家の前で何かをしている男たち。崩れそうな八百屋。周りには電線もない。車窓から見るだけでもそんな光景が目に残る。アジアは何度も来ているとはいえ、まがいなりにもヨーロッパに行くことが多かった私はカルチャーショックを覚えた。

きっとこれがミャンマーなのだろう。

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大体1時間半ぐらいかけてイエレーパゴダに着いた。

晴れていた空はいつの間にか曇り、雨がふり始めた。駐車スペースから歩くとお供物やヤシの実ジュースが売られていた。

タクシーの運転手となんとかコミュニケーションをとって、中洲にあるパゴダに船で渡った。

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イエレーパゴダは人が多く、このイラワジ川の力を改めて感じさせられる空間だった。

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彼らはここで何をし、何を思うのだろう。敬虔な仏教徒でしかわからない何かがあるのだろうか。

中は決して広くなく、30分もあれば十分に見て回ることができる。だが作りや仏像が面白く、のんびりするのも悪くない。

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空港に向かう途中、運転手が下手くそな英語で教えてくれた。

「右側にでかい施設が見えるだろ。日本が作ってくれているんだ。雇用が生まれて、ミャンマーは裕福になるんだ」

この頃のミャンマーには潤沢なODAが日本から入り込み、JICAだか商社だかが一帯一路に負けじとインフラを作っていた。

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ミャンマーは裕福になるんだ。2021年、ミャンマー国軍のクーデターからの民主化は、全然先が見えない。

2017年の終戦記念日が終わっていく。

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