「ここ、本当にすごいです」
北アルプスに何度も来ているが、立山からの景色も想像を超えて素晴らしい。剱岳は格好いいし、カール地形も美しい。
それがこんな容易に見られるなんて、恵まれた国に生まれたものだ。
つくづく、思う(が海外には行きたい)。
* * *
ここに至るまでは長い。
何というか、他のサラリーマンたちがそうであるように一週間に辟易とした頃に土日はくるのだが、その土日も円滑に来ないことが山行の二週間ほど前から発覚してしまっていた。そう、木曜日、金曜日と出張になってしまい、出張を終えてから友人たちと一緒に扇沢(立山の長野側の入り口)に行くのでは間に合わないのだ。
これまでの旅のように、今回も言い出しっぺは私で、段取りを途中で投げ出す形となり申し訳なかったが、一緒に行くはずだった仲間たちとは立山のテント場で会うことにした。
出張が決まった時は絶望したのだが、出張先が北陸だったことがラッキーで、富山からアクセスすることができることを思い出した。
* * *
そんなわけで、木曜日に自宅を出て石川県内のホテルに泊まり、金曜日に仕事を終えて富山に向かうことにした。
とはいえ考えねばならない課題は大きく三つある。
①ビジネスバッグ+60リットルのザック+登山靴を出張先までどのように持っていくか
②ビジネスバッグ+60リットルのザック+登山靴を出張先でどうするか
③ビジネスバッグ+60リットルのザック+登山靴を登山の時にどうするか
である。
①の課題。
今の会社の雰囲気や立地等の性質上、ビジネスバック+60リットルのザック+登山靴のような巨大荷物で出社するわけにはいかない。会社最寄り駅にも十分な大きさなコインロッカーがないことは先に確認済みである。
数少ないコロナ禍のいいところ、木曜日を在宅勤務にできたことだ。これで①は円満解決だ。
②の課題。
そして当然ながら出張先にも60リットルのザックに登山靴を持って行くわけにいかない。しかし、まぁ宿泊施設なのだから当たり前かもしれないが、木曜日に宿泊したルートインはチェックアウト後の18時ぐらいまで荷物を預かってくれた。とりあえず②は円満解決だ。
③の課題。
ルートインはチェックイン時に確認した通り、ヤマトの発送も対応しているとのこと。対応していない宿泊先だったらと考えると、荷物はどうにか送るしかないためダンボールやガムテープやら発送をどうするか、ささやかだが出先では面倒な課題だ。
今回はルートインが素晴らしいので、チャチャっとトイレで登山スタイルに着替えてにっくきYシャツやらビジネスシューズやらをダンボールに詰め込み発送をお願いした。ゲストハウスだとこうはいかない。
しかし円満解決はいかない。
悲しいことに社用パソコン・アダプタに電話といった休み明けに使用するものは送るわけにいかず、登山に持って行くことにした。③の課題は6割解決ぐらいだ。
仕事上がりに③の課題対応手続きをせねばならないと考えると仕事に集中できず、同行者の話を切って先に進みたかった。
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出張先の能登半島の中央部から宿泊先の富山は遠い。
まず金沢まで1.5時間ぐらいかかる。その上、鉄道が1時間に1本〜2本しかなく、ここでも30分程度待つことになった。
待ち時間を合わせなくても出張先の最寄りから富山までだと新幹線を使っても2時間ぐらいかかる。在来線でも2時間20分と大して変わらない。そのため安価に行くために在来線を選択し、JR線、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道を知らないうちに乗り、富山に辿り着いた。
あいの風とやま鉄道は外見こそ可愛らしくしてみたものの、車両が古い上に外が見られない模様付きの窓で駅についてもどこの駅か確認できず、駅名の電光表示なし、何をいっているかわからない車内放送。なかなか不親切で地元民以外どこにいるかわからないような仕様だった。
やむを得ず、私はGoogle Mapで現在を調べながら降りる場所を確認する羽目になった。
* * *
人生で初めて降りる富山駅はポジティブに言えば新しく整然として綺麗だ。ネガティブに言えば無機質。北口はまだ工事中のようでタクシープールを抜けるのが大変だった。しかしそこから北にあるゲストハウス・いるかホステルに向かう道もとても整然としていた。両サイドに大きなビルが林立し、車道顔負けの広い歩道が街灯やビルのライトアップに照らされて美しい。モニュメントもあって治安の良い街なんだろうなと感じた。
私はセブンイレブンでこの日の晩御飯と翌日の朝食や行動食のプラスアルファを購入してゲストハウスに向かった。
ゲストハウスはビルの2階にあり、新しいのか清潔感のある内装にびっくりした。こんなゲストハウス、また来たいに決まってる。マケドニアかどっかのゲストハウスがフラッシュバックし、旅人として早く海外に旅に出たいと浮遊感を覚えた。
結局18時に仕事が終わり、着いたら22時近くなっていた。
流れていた孤独のグルメを見ながらセブンイレブンのお弁当を食べ、就寝した。
続く。
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