【ボリビア ウユニ塩湖】ウユニ塩湖の星空を(ほぼ)独り占めした話(1/3)

DSC00469 scaled - 【ボリビア ウユニ塩湖】ウユニ塩湖の星空を(ほぼ)独り占めした話(1/3) 旅行記

人間なのでミスはある。医療業界や航空業界がよく例示されるが、当然どのような業界でもヒューマンエラーは存在するのだ。

ヒューマンエラーはなくすことはできないため、複数の障壁を設けたり、ダブルチェックといったヒューマン的対策をしたり、そもそもヒューマンエラーが起こせないような物理的に不可能にするという方法もある。

そんな講習を受けたことがあるし本を読んでいる。習ったことを会社の後輩たちに講義したこともある。「失敗の科学」という名著も非常に面白い。

そう、ヒューマンエラーは起こりうるのだが、わかってはいても僕はなんとも言えない気持ちになっていた。2泊3日のアタカマ-ウユニツアーの優秀で憎めないドライバー ホセ氏がよりによってこの日、3日目の朝に寝坊したのだ。

ドライバーにおんぶに抱っこの我々とは違って、悪路を二日かけて運転し、また食事等の世話までしなくてはならないこの仕事は大変である。

しかし、だ。この日は3:50amにランドクルーザーに荷物を積載して4:00amには出発する。つまりウユニ塩湖で星空を眺めた後にサンライズする。そう言っていたではないか。私を含めツアーのメンバー5名(日本人の女性二名(YさんとRさん)、ドイツ人カップル、僕)は当然準備をしているが、4:00amを回ってもホセ氏が来ないのだ。5名のうち2名は前日から本調子でないにも関わらず、気合いで目覚めているというのに。彼にとっては日常ではあるが、僕たちにとってはまたとないウユニの星空とサンライズなのである。

* * *

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「ホセ来ないね」

「部屋の場所聞いてないよね」

と女性Yさんとボソボソ話す。当然ドイツ人カップルに聞いてもわからない。

事前に電話番号や部屋の場所を聞いておくべきだったが、仕方がない。

僕は苛立たしいような悲しいような気持ちで、塩のホテルから漏れる光害がある中でも天の川がはっきりと見える空の下で行き場のない思いを鎮める。星空を眺めたり適当に写真を撮ってみたり、「ホセー」と呼んだりしていた。昼間に僕は「3時発にできませんでしょうか」とホセ様に聞いてみていたぐらいの気持ちだったのに。

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どうしようもない中、半ば諦め状態だったところにホセ氏がやってきたのは4:30を回った頃。

「いやー、布団が暖かくて」なんて非常に申し訳なさそうに英語で言いながらやってきた。目を見たら一眼でわかるぐらい非常に眠たそうである。遅れたことはもう仕方がない、むしろ30分程度の寝坊で済んだのは奇跡ですらある(経験的に二度寝というものは一度したらタイムワープする)。

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塩のホテル。思っていたよりもよかった。
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僕は彼に「大丈夫だよ」と優しく声をかけてあげることができず、自分の心の狭さに嫌気が差す。

当該ツアーを11年来支えているホセ氏は手慣れた手つきで我々の巨大なザックをランドクルーザーに乗せていく。

ホセ氏は明らかに焦った姿で半分ぐらい閉じた目のまま僕たち5名を乗せて走り出す。

僕は助手席に乗り込み、彼が眠くならなそうななけなしの曲を流した。この二日間と少し、全く実用的な電波を拾うことができなかったため流せる曲は限られたが、多少なりとも音楽をダウンロードしておいてよかった。

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15分ほどの運転で塩湖の真ん中あたりに着いた。いや、真ん中かどうかは全くわからないが少なくとも端は見えないので真ん中ということで良いのだろう。

西側にあった助手席からではわからなかったが、東の方には未熟なトマトばかり集めて絞り出したトマトジュースのような、また天頂にはカベルネソーベニヨンのワインのような、そのそれぞれをぶちまけたようにグラジェントとなって広がり始めていた。所謂マジックアワーというやつである。

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「やっぱりそうだよね・・・」

まだ星空が見られると淡い期待を抱いていたが、どうやら遅かったらしい。

「きっと30分早くてもそれだけだったもんな、うんうん」と僕は自分に言い聞かせる。

「この時間の30分は本当に重要だよ」とYさんに速攻否定される。

わかってはいるのだが、認めたくないというか、要はそういうことである。

しばらくは星景写真をRさんと試みるが、一瞬で諦めた。

気を取り直して、スミレ色の空の下、ホセの手慣れた技術で目にしたことがある光遊びの写真撮影が行われた。どのように写真が製造されているのかここで初めて知った。

12月末の乾いたウユニに、気がつけばすごいエネルギーを放出しながら登ってきやがるトマトを写真を撮ってこれでもかとYさんと全力で遊びまくった。気がつけばRさんはランドクルーザーでトマトに向かいながら半分以上眠り落ちていた(カメラを向けると動くことは確認できた)。

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何もない白い地平線から湧き出てくるエネルギーの塊は強くて美しい光を放ちながら我々を酔わせるワイン色の空を徐々に日常の色に戻していく。

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その後のなんとなくモヤモヤが抜けないながらもサボテン島(カクタスアイランド)を楽しむ。カクタスがサボテンという意の英語とは知らなかったため事前に説明されていたにも関わらず全くなんのことかわかっていなかった。

なぜこの陸地にだけカクタスなる摩訶不思議な植物がニョキニョキよろしくもじゃもじゃしているという。なぜここだけなのかYさんがホセ氏に聴いてみるがわかっていないらしい。事実は小説より奇なり。

そしてここに何故こんなに綺麗なお手洗いがあるのか甚だ謎である。

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ホセ氏が準備してくれていたデサユーノ(朝ごはん)のパンケーキ(柑橘味とのことだったが認識はできなかった)はR氏が絶賛する甘ったるいミルクジャムにバッチリ合った。

続けてウユニ塩湖での写真・動画撮影遊び。プロフェッショナル ホセ氏の技術指導監修のもと、写真・動画を手持ちのスピーカーで「Un Poco Loco」なんかを流しながら全力で満喫した。

細い魚の骨が喉に刺さったまま抜けないような違和感を覚えながら、忘れて最高のツアーを満喫していた。

* * *

同じクルマで旅を共にしたYさんとRさん。

同じクルマでなんとかコミュニケーションを取られるようになったドイツ人カップルのルイーザとフェリックス。

パラレルに遂行されるツアーに参加しており会うたびに日本人女性二人にちょっかいを出し続けるリオデジャネイロ在住で憎めないどこでも踊り出す陽気なヒキ氏。

サンペドロの宿で同じになり私の二段ベッド下段を使用していて寝ている時に突然ベッドのフレームが壊れるという奇跡を引き起こしたブリティッシュのメナ氏。

多くの出会いがありながら、そこはかとなく楽しいツアーは継続されていった。

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※ホセ氏の名誉のためにも言っておくが、そもそも本ツアーには「星空鑑賞」は含まれておらず、あくまで「サンライズ」であるためツアー自体は完全に遂行されたと言えよう。勝手に僕たちが期待していただけなのだ。僕はこの日の夜にも星空ツアーに参加しようともともと考えていて、「これで星空が見えたらもう参加しなくていいかなぁ」ぐらいに考えていた。結果的にこの日に見えなくてよかったとここにも記載しておきます。

※再び同じ寝坊というミスを起こすとは考えづらいこともあり、同ツアーに参加される方、SAJAMAトラベルのベテランドライバー ホセさんを推薦します。

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