【北海道 利尻岳】神々しさと海。最北端の百名山。北麓野営場から利尻岳への道のり

DSC9358 - 【北海道 利尻岳】神々しさと海。最北端の百名山。北麓野営場から利尻岳への道のり 旅行記

利尻岳は北海道の利尻島にある山で、日本最北の百名山である。

その美しい山容から「利尻富士」と呼ばれることもある。

利尻岳はコースタイムが登り6時間、下り5時間の11時間とされており、朝4時にでも麓に戻ってくるのは昼間15時ぐらいになってしまう。それは仕方がないので、我々は北麓野営場に宿泊して登ることにした。

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山の朝は早い。いつものことではあるのだが、まだ真っ暗な朝3時半に無理やり目をこじ開けた。まだ星が出ている。懸念されていた雨は降っていないが、9月末の利尻島は冷え込む。ダウンまではいらないまでもフリースにジャケットを羽織り、出発の準備をした。

ここ、北麓野営場は二通りの宿泊スタイルがある。

一つはケビンと呼ばれるコテージのようなところだ。水道設備やガスはないが、電気を使うことができ、布団もある。4名まで宿泊可能で、荷物を置くには十分なスペースがあるがテーブルなどもなく、ワイワイできる空間ではない。

もう一つはテントだ。テント場は少しケビンから離れていて受付を少し登ったところにあるのだが、「メンバーの一部がケビンに泊まる」ということでケビンの真横にテントを張らせてもらうことができた。

ここに泊まるとガスを借りることができる。登山でよく見るイワタニの黄色いあのガス缶だ。満タンではないのだが、帰り飛行機で持ち帰られない方が置いていったものを使わせてもらえるというスタイルだ。

なお野営場にはシャワーはないが、フェリーターミナルからの道中に温泉がある。

我々は受付の横にある炊事場で昨日セイコーマートで買ったパンやらなんやらで朝食を済まし、昨日沸かしたお湯で適当なものを飲んで温まる。

「トイレってここしかないよね」

「そう、利尻登っている時はトイレブースがあって、そこで携帯トイレを使うしかない」

7月に屋久島に行くまではそのような登山コースに行ったことがなかったが、端っこのトレッキングではそんなものなのだろうか。

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準備を整えてまだ真っ暗な登山道を歩き始める。最初は森の中だ。急登というわけでもなく、だらだらと歩く。ヘッドライトで照らされた道は昨日の雨のせいでぬかるんでいるところが多く見える。

しばらく歩くと水をくめるところがあった。

「ここの水って飲めるんだよね」

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日本の百名水とやらに選ばれているようでさぞおいしいようだ。食品業界で研究開発をしている私はつい「キャンピロバクターとか衛生面は大丈夫だろうか」といらんことを考えてしまう。

だらだらと歩いていると途中「三合目」と書かれたプレートがあった。ここから「四合目」とかどんどんと見ていくことになる。三合目はまだまだ歩き始めで、ほとんど登っていない。周りもまだ真っ暗だ。

そのまま登山道を歩いていくと日が上ってくる。天気はどんよりとしているが、青空の部分もあり、また朝日が斜めに差し込んでおり美しい。

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五合目過ぎたあたりだろうか、周りの木が低木となり周りが見られるようになった。ふと振り返ると鴛泊港が見られるばかりか、稚内も望むことができた。利尻島と稚内を結ぶハートランドフェリーが優雅に泳いでいる。

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「めっちゃ綺麗」

そう言いながら皆で写真を撮る。海が見られる山は多くあるが、機会に恵まれていないようでこれまで丹沢ぐらいでしか味わっていなかった分、非常に価値のある景色に感じられた。

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写真で見る利尻岳はいつも曇っている。当然偶然であるのだが、なんとなく晴れない山な印象だ。

標高が上がるに従って雲行きが怪しくなっている。

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避難小屋を超え、9合目に着いた辺りから雨や風が強くなってきて我々はレインコートを羽織る。

「やっぱり頂上もこんな感じかな」

八合目を超えたあたりから最果て感が出てくる道となった。足場が岩っぽくなっており、脆い印象だ。階段などで歩きやすいように整備はしてあるが、まだ途中のようで工事中の様子が見られた。

「最果て感出てきたね」私が言った。

「北海道の最果てだからと言うか、山の上ってこんな感じじゃない?」

確かに八ヶ岳や那須でも同じような足場のところがあったため北海道だからと言うわけではない。ただしそれらよりも低標高ということで大きく誤っているわけでもないだろう、おそらく。

とはいえ利尻岳の浸食・風化による崩れは一部では話題になっているようであった。確かにこのペースで崩れていったら登山ルートを変える必要があるのかもしれない。

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上の行けば行くほど天気が崩れているというわけではなく、八合目が最も劣悪であった。雨は降っているものの、先ほどよりは風が弱い印象だ。

もはや下ってくる人たちがいる。一体何時から登り始めたのだろう。

頂上近くなるとカラフルな岩、コケが見られるようになった。

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「海の中みたい」

そう、先日のダイビングで見た海の中もこんな印象のところがあった。なんとも不思議な感じだ。

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風は思ったほど強くはなかったが頂上は案の定曇っていた。

展望こそ十分ではないものの、前日に東京から1日かけて北麓野営場に来て、朝3字半に起きて5時間近くかけて登り切った山は神々しい感じがした。友人の百名山50座目というクレイジーな達成を祝った。

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50座目はみんなで登りたいとのことで、この山で50座となるように百名山には行かないようにしていたようだ。なんとも素晴らしい話ではないか。

落ち着いていられる空間ではなかったこともあり、我々は用意していた新千歳空港で買ったバームクーヘンを頂上で食べることなく、昼食も摂らず、写真を撮って下った。

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途中、避難小屋で昼食にした。

麓に着いたのは14字半ぐらい。途中休憩を挟んだことも考えるとコースタイムとしては悪くない。

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麓に着いた我々は、まずは荷物を下ろしてトイレに駆け込み、靴を洗った。

「バームクーヘン食べよう」

「え、いつ買ったの?持っていってくれてたんだ」

「そう、山の上で食べようと思って昨日新千歳空港で買った。というか買わせた」

そんなことを言いながらケビンの前に皆で青空の下に腰を下ろし、昨日沸かしたお湯でお茶を入れ、バームクーヘンを口に放り込む。他にもじゃがポックルや白いブラックサンダーを開けてピクニックが始まる。

ソロの登山やひとり旅は好きだ。だけどみんなでワイワイと登って無邪気にお茶をする。

そんな旅はかけがえがない。

私はふらっと立ち上がって利尻岳の頂上が見られるところまで歩く。

「ほら、こっちにきてみ。やっと利尻岳が見える」と10分ほど前に言われていたがほとんど利尻岳は見えていなかったが今は頭の先っちょが見られる。

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「みんな、ようやく利尻が見られるよ」

「帰りにすれ違った人たちは見られているのかな。何時に下るんだろう」

「じゃあ見られるうちにドライブに行こう」

私たちはピクニックをお開きにしてフィットに向かった。

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