神社とユダヤ教。日本と訪日外国人を考える。

神社 コラム

私が所属する東京の訪日外国人ボランティアガイド団体はリクエストは国の偏りがある。

口コミで広がっていたり、時にメディアが取り上げたりとかで認知率は違うようだ。

当然英語圏、特にアメリカ人のリクエストが多いがスペイン語圏からのリクエストも多い。納得はできるが、国の偏りも結構ある(英語比率59%、スペイン語比率19%)。

 

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「東京で最もオススメの場所は?」

案外困る質問。

 

個人的に好きなのは御茶ノ水橋だけれど、ただ雰囲気が好きなだけで何かあるわけでもなければそんな行くところがあるわけでもない。

新宿も有楽町も好きだけれど観光地として行くわけではない。

浅草?この答えは面白くはないし、期待されてないだろう。深大寺は素晴らしいが、東京に来て深大寺に行く必然性があるだろうか。根津神社や日枝神社は喜ばれる。

 

だが私は神社の雰囲気が好きなので「明治神宮」とかありきたりながら答えておけば良いのだろうか。

 

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海外に旅してみたり、日本にくる外国人と話してみると日本はかなりアメリカに近く、だがアジアなのだとと実感する。

それは戦後以来地政学的にパートナーであり、経済的な結びつきが大きいためであろう。

例えば街並み一つとってみても新宿の猥雑な感じ、どこの都市でも同じように主張する看板たち。ニューヨークのようなアメリカの巨大都市ならばまだしも、ヨーロッパの街並みではほとんど見受けられない。

 

表参道などのショッピングエリアも同じだ。

「わざわざ海外に来て」訪れる場所ではないという認識で一致するようだ。

 

私はそのいずれの街並みは嫌いではないし十分楽しめるが、それでも海外の街を訪れると東京などは没個性的で物足らない印象を大きく受けてしまう。

それは訪日外国人でも同じようだ。

 

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そんなこんなで原宿・明治神宮はよく案内する。

 

竹下通りはロンプラなどに掲載されているのか、案内して欲しいとかリクエストされる。

竹下通りで何を案内すればいいのかわからない。

 

コスプレしてる人はどこにいて何やってんの?とか聞かれるが、正直言って知らんし興味がない。

しかし、はっきり言って原宿に行く人たちはがっかりする。明確に原宿に目的がなければ案内するのは厳しいだろう。そして案内できるレストランも人口密度が高すぎて容易に探せない。

竹下通りが混雑しすぎていて入り口で「やっぱりいいや」という人も少なくない。

自分は海外に行ってここまで過密している場所は経験したことがないし、仮にあったとしてもそこが異国だとしたら行くだろうか。

 

ただし私の所属するボランティア団体では原則としてゲストのリクエストする場所に行くことになっており、否定的なことは言わないようにしている。

 

原宿から明治神宮が近くてよかった、と良く思うものだ。

 

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ヤンゴン

 

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ニューヨーク

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このボランティアガイド団体では、国別の偏りがありつつも様々な国から日本を訪れるゲストがおり、その中で目立つのがイスラエル人の存在だ。

彼らはその程度はともかくユダヤ教徒であり、宗教的なところへの関心が大きいようだ。特に明治神宮のような神社に行くとその話は避けて通れない。

 

宗教。

どこの国に行っても文化の根底にあったり、争いの種となる価値観。

「日本の宗教は?」

と言われたらどう答えよう。

 

「うちらは何も信仰していないよー!笑」

 

とかとりあえず答えるが、実際はそうではない旨も説明する。

実家の祖母は仏壇にご飯とか毎日供えさせていたし、自分も小学生の頃には夏休みにお寺でお経を唱えるやつをやらされていた。

一部の人はこのように仏教を漠然とでも信仰していたり、心の拠り所にしているケースは多く不思議ではない。

 

当然このような人たちに限ったことではなく、例えば冠婚葬祭などは宗教の形式に基づく。

それは神社やチャペルでの挙式であり、お寺の除夜の鐘であり、初詣や縁日であり、七五三であり葬儀である。

箸のマナーだって仏教のタブーはタブーだ。

我々は無宗教といえるだろうか。

 

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山頂の鳥居は山岳信仰との融合か

 

 

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日本はイスラム教徒だけでなくユダヤ教徒にも住みにくい。

ユダヤ教では豚肉は食べられないだけでなく、鱗のない魚介類は食べられないし乳製品と肉を一緒に食べてはいけないなどKosher(コシェルとかコシャーとかコーシャーとか呼ばれる)ではないものがあったりする。

つまり彼らは観光に来ても豚骨を使ったラーメンは食べられないし、牛乳とお肉が組み合わされたシチューも食べられない。

 

ハラールに関して理解は深まってきているが、コーシャに対する理解は深まっていない。

しかしイスラエルという国は技術的にも金融的もすごいし、ユダヤ人には世界的な経営者・科学者などが数え切れないほどいる。

 

そもそも日本人にとってイスラエルは「遠くの危険な国」との印象が強く、他の中東諸国と混ぜて考えられてしまっているきらいがあり、正しく理解している人が少ない(自分は正しく認識できているつもりではいる)。

イスラエルという国を理解し、日本としても訪日イスラエル人がもっと快適に過ごせる環境を整えて行くことも考えて行くべきだろう。

 

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世界に当たり前など存在しないし、それに気がつくことが楽しくてしょうがない。

自分の無知さに気がつく辛さ。

 

世界を全部知りたいけれど、まずは日本に気づくことから、かな。

 

ちなみに渋谷も「スクランブル交差点が見たい」って言われて行くけど、その後やることがないので絶望します。

 

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