国は三つでまとめられることがなぜか多い。
例えばベネルクス三国といえばベルギー・オランダ・ルクセンブルク。
コーカサス三国といえばアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア。
ギアナ三国といえばフランス領ギアナ、ガイアナ、スリナム。
インドシナ三国といえばラオス、ベトナム、カンボジア。
共通する歴史や同じ文化背景を持った地域はなぜか三国でまとめられることが多い。
今回はバルト三国について考えてみる。
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東欧とはどこか。
東欧と聞いてどこを思い浮かべるだろうか。
人によってかなり違うだろう。ウクライナだったり、ハンガリーだったり、チェコだったり、ポーランドだったり、アルバニアだったり、クロアチアだったり。
この分類自体、かなり無理があると感じている。
漠然と「東」が持つ意味が旧ソ国、共産圏の意味合いが残っている以上避けられない先入観・印象であることは拭えない。
例えば西欧といえばイギリスやフランスのようにキリスト教の歴史に裏付けられ、地理的にも近いというある程度共通の文化がある。
果たしてアルバニアとウクライナが類似した歴史を歩み、同じ宗教ベースなのだろうか。時にコーカサス三国まで東ヨーロッパに分類される。
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狭義には東ヨーロッパはロシア、ウクライナ、ベラルーシの三国でスラブ人が支配的な地域。確かに東方正教会をベースにしており、文化・民族的も近く、歴史的背景も遠くはない。
バルカン半島はどう捉えるか。ブルガリアは判断が難しいが他の分類が一般的でない以上、東欧とするのが妥当となってしまうのだろうか。ギリシャは特異的である上、旧ユーゴ諸国はまた考え方が難しい。バルカンはバルカンとして捉えるべきだろう。
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アメリカ CIA World Factbookによる分類
アメリカCIAが年鑑形式でまとめるCIA World Factbook。こちらではヨーロッパを非常に細かく分類している。
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Wikipediaより転載。
アメリカの意図が見えるようにも捉えられる。細かく分類すれば妥当な地域があるのは当たり前で、「そう分けるのならそうだ」という分類が多い。正直一般的に浸透していないし、有用性は微妙だ。
なにせEUに加盟しているキプロスが中東に分類されている。
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国連による分類
国連の分類がこちらだ。
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Wikipediaより転載。
例えば、イギリス・アイルランドは北欧でバルカン諸国は南欧、スイス・オーストリアは西欧。そしてバルト三国は北欧。
国連の分類が全てとは思わないが、実感との違いはいかがだろうか。
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バルト三国は東欧か、北欧か。
さて、バルト三国はどうだろうか。というかどこだろうか。
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バルト三国は一般的に東欧と呼ばれており、私自身この地域に行く前は東欧として認識していた。それは単純に旧共産圏に組み込まれていたため、「東」欧と刷り込まれているのだろう。
しかしどこかで「バルト三国は北欧」と目にして以来、北欧として認識している。実際その方がしっくりきてしまったからである。
例えばラトビアやエストニア。ゴールデンウィークの時点で22時近くまで明るく、印象としてここは東欧と呼ぶのは違うと肌で感じたためだと思う。
地政学的に見た場合、ここはロシアとイギリス・ドイツの中間地帯。つまり緩衝地帯として機能することにもなる。
なお、国連が公式にバルト三国を北欧としたのは2017年のことだ。
国連の意図は不明ではあるが、現在ではEUやNATOにも加盟しているバルト三国を「東欧」とするのは歪と感じたのかもしれないし、国連の中で発言力が大きい西側諸国が「自らの陣営」ということを暗に主張しているとも捉えられる。
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所感
自然科学ではなく社会科学に基づくこの分類によって特に何かが変わるわけではないが、ギリシャやキプロスのように地政学的に重要な地域である以上、今後もバルト三国は大国に翻弄されるのだろうか。
分類に意味があるわけではない。ただし日常会話の文脈で使われたりニュースでさりげなく使用されたりする分類。印象をさりげなく操作したり、ミスリードさせることにも繋がりかねない。分類には歴史的経緯が重視されることも多く、その概念が一般にも浸透しているきらいがある。その意味でニュアンスが変わってきて国の印象や距離感に影響を与える。
一般的な概念が必ずしも正しいとは限らない。私はバルト三国は北欧、イギリスは西欧、ドイツは中欧と認識している。これが正しいとも限らない。
↓マルタ
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