【ジョージア】ロシアとの緩衝地帯:ジョージアの地政学

DSC5198 - 【ジョージア】ロシアとの緩衝地帯:ジョージアの地政学 地政学

ジョージアはコロナ禍前に観光地として旅人に流行った地帯だ。流行りに乗って私も行ってみた。

食が美味しく、物価が安く、平和で、自然豊かなのが魅力、ビザ不要で一年近くも滞在できる、というのが平和ボケした旅人の論理。

噂に違いなく、実際にその通りではある。

そんなことは置いておいて、その地政学的な状況は理解しておいた方がいい。ジョージアの地政学を見てみよう。

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ジョージアはどこにある?

まずはジョージアの場所から。

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北はロシア、南はアゼルバイジャン・アルメニア・トルコと国境を面する。西側には黒海があるため内陸国ではない。

黒海はロシア、ウクライナ(クリミア半島)、ジョージア、トルコ、ブルガリアが面する海運上・軍事上重要な海。トルコのボスポラス海峡・ダーダネルス海峡を抜ければエーゲ海・地中海に抜けることができる。

ジョージアと課題を抱える周辺共和国

オセチア

ジョージアの中にあるとも言われる南オセチアの前に、まずはオセチア全体を見ておこう。

オセチアはロシア国境西接している地域。南北にまたがって5,000メートル級の山々が連なるコーカサス山脈が横断。

北オセチアも南オセチアもいずれもオセット人が多い。イラン系のオセット語を話し、正教会を信仰する者が多い。文字はキリル文字、ロシア語も話す。オセット人の祖先はアラン人とされ、その雅称であるアラニヤを国名に冠する。

1920年台に南北が分割され、いずれもソ連に吸収された。ソ連崩壊後は北オセチアは北オセチア共和国としてロシア連邦の一主体となり、南オセチアはジョージアの自治州となる。

名物はチーズとじゃがいもが入ったハチャプリ。ミートパイも。

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南オセチア(南オセチア-アラニヤ共和国)

ロシアとの間にある事実上の国家。首都(州都)はツヒンヴァリ。ジョージア政府や国連は南オセチアをジョージアの一部としている。

1991年に南オセチアは当時のグルジア・ソビエト社会主義共和国からの独立を宣言し、紛争化している。2008年の南オセチア紛争ではオセチア軍・ロシア軍が旧南オセチア自治州を掌握。ロシア軍に占領されたものと国際社会からは見なされている。

ジョージアとロシアが抱える火種の一つ。

北オセチア-アラニヤ共和国

ロシア連邦を構成する共和国。首都はブラジカフカス。どちらかというと親ロシア的。

隣接するイングーシ共和国との対立を抱えている。チェチェン共和国の独立をめぐるチェチェン紛争ではロシア軍の拠点として使われている。

アブハジア自治共和国

アブハジア自治共和国(以下、アブハジア)はジョージア国内の自治共和国で黒海の北側に面する。首都・州都はスフミ。ロシアのソチに近い。

1991年にジョージアが独立したその翌年、1992年にアブハジア自治政府が独立を宣言。ジョージアはアブハジアに軍を送り、アブハジア分離主義武装グループとの間で戦闘が起こる。一週間でジョージアがアブハジアを鎮圧。ジョージア政府はアブハジア自治政府を廃止する。しかし義勇軍がアブハジアの分離主義グループに合流し、再びジョージア政府軍と戦闘が始まり、アブハジア戦争と呼ばれる大規模な戦闘になる。

その後ジョージア軍が劣勢となり、1994年に停戦合意。

戦闘中にアブハジア側をロシアが軍事支援しているとされたり、民族浄化が行われたりと混乱。1994年の停戦合意後は国連の平和維持軍が停戦の監視に当たっている。

ジョージアの自然国境

ジョージアの北方国境は山岳地帯で、コーカサス山脈が聳える。

アルメニア・アゼルバイジャンとも概ね山脈が国境となっているが、平野部もある。

ジョージアの地理的重要性と国際組織

前述のようにジョージアの東側にはアゼルバイジャン、西側には黒海・トルコがある。アゼルバイジャンは産油国であり、アゼルバイジャンからの石油パイプラインはジョージアを通りトルコに抜ける。アルメニアとアゼルバイジャンは仲が悪いためそこにパイプラインは通らない。

NATOとEU

ジョージアはアルメニア・アゼルバイジャン同様NATOに加盟していない。しかし加盟したい意向があるようだ。ちなみに日本もNATOに加盟していない。

NATOに加盟しているトルコと隣接していることから、ロシアと西側の緩衝地帯となっている。そのためロシアはジョージアにNATO加盟をさせない。

ジョージアとしてはNATOだけでなくEUにも加盟することを外交上の課題としている。

経済的な課題や前述の紛争といった課題はあるにせよ、キリスト教を文化のベースとするジョージアはトルコよりもEU加盟に近いのかもしれない。

旧ソ連構成国との連携

GUAM

その他の連携としてGUAM(民主主義と経済発展のための機構GUAM)で、構成国の頭文字である。

ジョージア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバの4か国で構成されており、2005年まではウズベキスタンも加盟していた(GUUAM)。意図としてはロシアの影響力から離脱を希望する4ヶ国が連携して1997年に創設された。2006年のキエフ憲章で掲げられた目的では「自由、民主主義、人権擁護、法の支配等の共通価値」を広げるとのこと。

CDC (Community of Democratic Choice)

CDCは2005年にジョージアとウクライナの両大統領の呼びかけによって欧州9ヶ国で構成された組織。主にバルト海、黒海、カスピ海周辺国で構成されている。メンバー国はジョージア、エストニア、ラトビア、リトアニア、モルドバ、北マケドニア、ルーマニア、スロベニア、ウクライナ。オブザーバー国家としてはアルメニア、アゼルバイジャン、アメリカ、EUなど。対ロシア姿勢が明確である。

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ジョージアでノマドワークも憧れるが、そんなことよりウクライナ情勢の沈静化とコロナ禍の終焉を祈る。

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