とにかく、メディアから流れてくる食品の情報が不適切すぎる。テレビ、ラジオ、SNSやインターネット。食品メーカーで研究開発をしている身からすれば聞くに耐えない、見るに耐えないものばかり。
最近目についたマーガリンとショートニングについて、まずは見てみる。
マーガリンとは何か?
まずは、マーガリンを知る前にバター
前提として、バターを知っておこう。
バターは乳由来であり、例えば牛乳から油脂を分離して固めたものである。しかも必要量が多く、バター100gを得るためには牛乳としてやく22L必要となる。通りで高いわけだ。
マーガリンとは?
そう、バターが高いのでその代替として開発されたのがマーガリン。こちらは主として植物性の油だが、別に動物でも良い。コーンや菜種、大豆などの由来があり、油脂含有率が80%以上のものがそう呼ばれる。
これらの油脂に水、食塩、フレーバーにビタミンE(油の酸化防止のため)等を添加する。それを乳化(水と油がちゃんと混ざるようにすること)させる。固めるために水素を添加する。
この水素の添加で不飽和脂肪酸(カラダにいいってみんながいうもの)を飽和脂肪酸に変えて固形にする。
補足:ファットスプレッド
ファットスプレッドはマーガリンよりも油脂含有率が低く、80%未満のものがそう呼ばれる。企画がゆるいため、チョコレートなどの他の原料を加えることができる。
JAS規格では以下のように定められる。
マーガリン | ファットスプレッド | |
性状 | 鮮明な色調を有し、香味及び乳化の状態が良好であって、異味異臭がないこと。 | ・鮮明な色調を有し、香味及び乳化の状態が良好であり、異味異臭がないこと。 ・風味原料を加えたものにあっては、風味原料固有の風味を有し、きょう雑物をほとんど含まないこと。 |
油脂含有率 | 80%以上であること。 | 80%未満であり、かつ、表示含有量に適合していること。 |
乳脂肪含有率 | 40%未満であること。 | 40%未満であり、かつ、油脂中50%未満であること。 |
油脂含有率及び 水分の合計量 | - | 85%(砂糖類、はちみつ又は風味原料を加えたものにあっては65%)以上であること。 |
水分 | 17.0%以下であること。 | - |
ショートニングとは何なのか?
おそらく一般家庭にはないであろう、ショートニングなるものを見てみよう。
水分や乳成分を含まず、ほぼ100%が油脂成分で香りはほとんどなく、白色で無味無臭の油脂。物性は必ずしも固体とは限らない。
区 分 | 基 準 |
性状 | 急冷練り合わせをしたものにあっては、鮮明な色沢を有し、組織が良好であって、異味異臭がないこと。その他のものにあっては、鮮明な色調を有し、異味異臭がないこと。 |
水分 (揮発分を含む) | 0.5%以下であること。 |
酸価 | 0.2以下であること。 |
ガス量 | 急冷練り合わせをしたものにあっては、100g中20ml以下であること。 |
ところで、なぜカラダに悪いと言われるのか?
ここからがリテラシーが問われるところだ。
カラダに悪い、と言われるがなぜカラダに悪いのか。本当にカラダに悪いのか。
結論を言うと、普通に生活していれば問題ない。
カラダに悪いと言われるようになってしまった所以としては、確か2003年ごろ、アメリカでトランス脂肪酸が話題となり、日本でもマーガリン等のネガティブキャンペーンが打たれたことに発すると思われる。
食品メーカーはトランス脂肪酸含量を厳しく管理し、今ではマーガリンの方がバターよりも低く管理されているものもある。いずれにせよ、普通に生活していれば問題ない。
なおトランス脂肪酸は油脂の化学構造の種類を表すものであり、農林水産省のWebサイトが詳しい。
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通常食べられている食品にあって、メディアの「カラダに悪い食品」ほど胡散臭いものはない。どうぞご注意を。
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