確かにテーブルマウンテンで見た夕日も最高だった。ナミブ砂漠の黄昏も素晴らしい。日常では仕事中に窓から見える夕焼けも美しい。
しかし、この夕景ほど体験と結びつくものは思い出せない。
「コースタイムでは8時間だし、常念岳を越えればそんなアップダウンもないはず・・・」
と誰しもが思っていたようだ。しかし私は地図をちゃんと読んでいたので気づいていた。なので希望的観測に乗っかっておいた。
常念岳で大天荘のお弁当や各自用意したカップ麺、おにぎりなのでお腹をいっぱいにした私たちは最終目的地である蝶ヶ岳に向かって歩き出す。
まずは常念岳を下り、思ったより下り、さらに下る。
つまり、登る。たくさん登る。なぜか森林(背丈より高い)の中を歩く。私個人的には森林限界は超えていたし、北アルプスの縦走中に森林を再び歩くとは思っていなかった。
正直言って一番詳しい仲間も「こんなはずではなかった」とか言っていた。
蝶槍で一瞬わーっとなり、早く休みたい一心で我々は蝶ヶ岳ヒュッテへ向かう。
* * *
蝶ヶ岳ヒュッテも美しい小屋で、清潔感がある。体調が完璧となっていた私はまずテントを張り、仲間の待つ小屋に戻る。
残念ながら私が一番だったようで、暇を持て余してしまった。ナショナルジオグラフィックが置いてあるのでそちらを読んで時間を潰す。昆虫食、顔面移植・・・センセーショナルな話題ばかりで非常に興味深い。(なおこの山行後、私はナショナルジオグラフィックを購読している。)
ようやく仲間が集まってきた。まずは乾杯。ビールを飲む。
昨日友人が持ってきてくれていたニュージーランド産(セブンイレブンで購入)のソーヴェニヨンブランのワインを飲むことができないのは残念だ。
そして先ほど常念岳で会った女性(話によると友達の知り合いらしい)も一緒におしゃべりに花を咲かせる。どんな話かは忘れた。どうせ山の話か旅の話だろう。ただこれを機に今後の予定がたくさん埋まったことは間違いない。
お代わりは大好きな「本絞り」が置いていないのは残念だったが、「氷結」のレモン味で我慢をする。
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周りがざわつき出す。そう、昨日はガスの中で忘れていたが夕焼けの時間だ。行こう。
皆、飛び出す。そしてそこには。
* * *
達成感がなければこんなに美しいとは思わなかったに違いない。
山の景色が美しい理由は、その肉体的・心理的理由によるところが大きい。そして仲間と分かち合う素晴らしさがある。
(了)
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