カナシミブルーな雲仙登山を終えた私たちは、当然温泉に向かう。
温泉としては雲仙に行ったのだし今は別にどこでもいいのだが、天草には行ったのだからセットっぽい島原には行っておきたい。しかし島原に関する知見はない。正直この旅までは天草と島原のどちらが熊本で長崎なのかとんと見当がつかなかった。
カナシミブルーだぜ。
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てなわけで島原温泉に行くことにした。
サクッと雲仙登山を終えたため時間に余裕がある。”日帰り温泉”的なキーワードでGoogleマップで探すとホテルシーサイド島原なるところが露天風呂もあって評価も良いではないか。
この温泉が今回の旅で三箇所目なわけだ。毎日温泉、最高。カローラアクシオを東に向ける。背後に見える雲仙の山々が美しいぜ。
島原の温泉は雲仙の白濁したありがたいものと比べるとサラサラした透明な泉質だ。色があったほうがありがたい感じがしなくもないが、そんなもは炭酸カルシウムや硫酸カルシウム、その他硫酸化合物によるものだろう、そんな不溶性でコロイド的なものが人体にどうポジティブに影響を与えているかはわかりかねる。
ホテルシーサイド島原の露天風呂は海が臨める快適な空間で、長居したくなる。2020年で何個目の温泉なのか、20回近く旅にいったことを踏まえると20箇所目ぐらいだろうか。数え切れない。温泉は日本の本当にいいところの一つだ。
温泉では友達とたわいもない話をする。仕事の話、山の話、旅の話。別に何も話さなくてもいい。
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さて、温泉のあとは食事だ。
「昼ごはん何にする？」
「ちゃんぽんとか長崎っぽいものがいいよね。宝楽とかどう？」
「じゃあそこにしよう」
ろくに考えたり調べたりすることなく提案を受け入れる。私はそういう人間みたいだ。
私の運転のターンなのでその宝楽とやらにアクシオくんを向ける。そんなに遠くない。カーナビに従ってその道に行くとなんとなく細い道に入っていき、ペーパードライバーな私はちょっと高揚する。
「ここで合ってる？」
「場所的に合っているから合っているんじゃない？あ、ここ駐車場だ。混んでるね」
昼時を過ぎているにも関わらずクルマが複数止まっていた。店構えから察するに地元の人たちに愛されている老舗といったところだろう。なんともいい店だ。
私たちはちゃんぽんちゃんぽんちゃんぽんな気分でお店に入る。やはり地元の人たちに愛されている感じがする。どことなくいつか盛岡で食べたじゃじゃ麺屋さんを思い出す。
「高菜チャーハンセットにしよう」
重い思いのものを発注する。出てきたちゃんぽんも高菜チャーハンもこりゃまた絶品だ。価格も東京とは違う優しい設定。
「島原って見るものありますか？」
私か、友達が店員に聞いた。
「島原城があるけど、あれも新しいし、そんな見るものもないかな。お寺とかあるけど」
「島原城、やっぱり行っておきたいな。ありがとうございます」
お寺のことは聞いていないことにして島原城が次なる目的地となった。実質的にこの日は雲仙しか行っていないためもったいない気がしたし、島原という皆が知る地である以上何か見なくてはならない気がしたのだ。
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ということで島原城に向かう。これは島原の一揆があったときに立て篭もったところではない、それは原城というところだ。
島原城は公式ウェブサイトによると「1618（元和4）年から、松倉豊後守重政が4年ないし７年の歳月をかけて築いたもの」とのことだ。謎の三年の開きがあるが、興味がある方は実際行ってみるとよかろう。行っても私はわからなかったが。
城としては本当に美しく、訪れる価値がある。隠れキリシタンの歴史、雲仙がそのときにどう使われたかが展示されており、日本史を知らない私たちにとっては非常に興味が湧く良い博物館だ。
城だから眺めもいい。海が臨める。
駐車場にはキャンピングカーが停まっており、そこで宿泊できるようにやっているみたいだ。なぜ城でキャンピングカーなのか私のようなノータリンにはその志が皆目思いつかないが一般人には需要があるのだろう、いろんなビジネスを思いつくものだ。
天草さんもいる。ん、天草さん、って、天草に出る前だから違う名前がいいのか、島原さんなのか。まぁいいや。
凛々しい。
そんな感じで、島原城を後にする。
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