【チリ イースター島】僕はモアイの前で今日も「哲学する」。(1/3)

DSC09560 scaled - 【チリ イースター島】僕はモアイの前で今日も「哲学する」。(1/3) 旅行記

謎はあったほうがいい。

そんなこと言われても道理に合わないことは基本的に認めたくないし、生物の進化の考え方にも反することは「どうなんだろ」と疑ってしまう。例えば猫の不可解な行動は理解に苦しむし、必ずしも快適ではない土地にわざわざ暮らしてしまっている人類のことも合点がいかない。そこを植民地支配した蓋然性も疑わしい。

一方で道理とかそういうのは別として、ミステリアスが魅力というのはわからなくはない。

例えば宗教的な神秘さとか大自然の幻想、男性女性問わず有するミステリアスさというのはどことなく惹かれる。だから人は旅をするし、科学する。

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さて、そんなことはどうだっていいのだけど、今回の話は謎業界の4番でピッチャーでボランチに位置するかの有名なモアイさんとその島の話。

誰しもがモアイさんがイースター島にいることは聞いたことがあると思うし、それが何故作られたのかどうやって運ばれたのかとかそういうことはわかっていないことまではわかっていると思う。

それに加えて「ここの島の文明は内戦によって滅んだ、モアイもそれで自分たちによって壊した」というぐらいのことまで知っている人もいるかもしれない。

イースター島は絶海の孤島(絶海ってなんだ?)ということだけではなく、そんな謎に満ちた魅力を持つモアイさんのいるにイースター島に行ってみた。

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僕は宿でも飯でも電車でも美術館でも、「予約」という行為が苦手で、この時もイースター島に行こうと決めていたにも関わらず飛行機の日程を調べておらず、振り絞ってイヤイヤ予約したのはその1週間ぐらい前。

運よくもサンティアゴからの航空券は往復約600USD程度で押さえられた。安い時は500USDぐらいから取られるようだけど、場合によっては1000USDぐらいになることもあるみたい。

それだけでなくってまた超弩級のモアイさんがたくさんいる特定の区画に入るためには国立公園の80USDのチケットが必要。アイドルのモアイさん大勢に会うために80USDなら安いものなのかもしれない。

これだけで済めばいいのであるけれど食費も高いし、後でわかってきたことなんだけどCovid-19のどさくさで特定の区画に入るためにはガイドを雇わなければいけなくなったみたいだ。とほほ。

こんなふうに、この島はバックパッカー泣かせだ。でも、会いに行けるアイドルさながら人を引き寄せる魅力を醸し出すモアイさんの力はすごい。

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僕が取ったLATAMのエアーは(いつも通り出発遅延したけど)本来であれば18時半にサンティアゴを出て22時前だかにイースター島に到着するもので、僕はそこから4泊することになった。なった、というのも自分がモアイさんに会いに行ったタイミングでは週3便しか飛行機が飛んでいなくて、それが最短だったから。だからこの一連の旅で「イースター島に行く」と決めた時点で他の日程も決まる事になってしまった。調べてみるとCovid-19の前も週3とか4とかしか飛んでいなかったみたい。

そこから必然的に全ての日程が決まってしまった。とほほ。

この島に行くに当たってPCRがいらなくなったことぐらいは流石に調べていたけれど、宿はチリ政府だかなんだかに登録されたところじゃなきゃいけないみたいな上に、事前に帰りの便とか宿泊先とかそういうのを含めた情報の登録が必要ということがだんだんわかってきた。

こういう謎はゴメン蒙りたい。

そんな「面倒くさい」の中心的存在の一つであるイースター島。

せっかく南米に来たんだから一緒に行っとこうかなーぐらいの感覚だったけど、それだけの面倒臭さを乗り越えさせてでもやっぱりモアイさんには人を呼び寄せる力があるみたいだ。

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僕はこの日もニワトリが元気に繰り返し鳴き喚く声で目を覚ました。これで三日目だ。明るく朗らかに鳴いてくれれば爽やかに目覚められるものの、奴らはなんでこうも胃の底から黒い物体を吐き出すように苦しそうに「クックドゥルドゥー」と鳴きやがるのな。しかも朝の5時からだ。こちらの朝飯は8時半からだって言うのに。

しょうがないから宿のルーターから発さられる弱っちいのWi-Fiを一生懸命拾うスマホを片手にこの島の情報を見てみたり、どうにも接続が悪いため諦めてKindleで本を読んでみたりする(僕のスマホは2022年12月の時点でこの島では4Gを拾わなかった。他の人も同じようだった)。

道路が未舗装、ニワトリの鳴き声で目が覚める、電波が入らない、朝晩意外と涼しくて昼間は避暑をする。そんないくつもの共通点がキューバをフラッシュバックさせる。

お散歩に行ってもいいのだけど、飼われているのかよくわからないけれどこの島は犬が放し飼いにされていて、襲われそうになったことはないものの、奴らが元気なこの時間にひとりで歩き回るのはどうにもイヤなんだ。

12月のこの島の朝は割と涼しくて、長袖を着ないと肌寒く冴えある。一枚羽織り、縁側というのかバルコニーというのか他に適切な言葉があるのかわからないけど、そこに置いてあるチェアに座って本を読んでいると8時ぐらいになっていた。

ポリネシアンイケメンのイヴァンが「Buenos Dias, Moto」と今日も爽やかに挨拶をしてくれ、僕も「おっはモーニン」ってスペイン語で返す。

彼は朝ごはんを準備し始める。昨日はオムレツだったけど、今日はパンにゆでたまごや。ジャパンではゆでたまごに標準搭載される塩もマヨネーズも何も提供されなかったが、食べ慣れているそれよりもトゥルトゥルプルプルホクホクで味も濃い。まさかそこのニワトリたちがさっき放出したものかな?だから美味しいに違いない、確認はしないが、そう信じよう。

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着いた日から数えて4日目となるこの日は、僕は自転車を借りてサイクリングをすることにした。

どこかの誰かが何かのために適当に書いたブログとか口コミとかそういう情報をよっわい電波でイヤイヤ調査したところ、この島は坂道やオフロードが多くサイクリングには向いていませんよーって書いてあった。

2日目にガイドをつけてKIAの散々使い込まれたヴィッツみたいなクルマで回ったのだけど、確かにサイクリングに向いていないなーって感じがしていた。さらにその翌日には島の南側にある「湖」まで自転車で必死に登った(宿の地図とかmaps.meでは「湖」っぽく描かれていたので普通に綺麗な湖があると思い込んでいたれど実際は「カルデラ湖」で、炎天下の下、延々と坂道を自転車で漕ぐことになった)。

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それでも2日目にクルマで走った海沿いの道は坂道が多いながらも絶対に気持ちいいだろうなと思っていたので頑張ってみることにした。

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街を抜けて海沿いに行くとやっぱり最高に気持ちいい。

優しい淡めのブルーの空に、濃いめのブルーの海。岸には海からざっくざっくと波が白く割れる。絶海の孤島。

ポリネシアントライアングルという言葉があるけれど、なぜこの島にポリネシア系の人たちがやって来られたのか本当に謎だ。鳥の飛んでいる方へ来てみた、とか、何かが流れ着いてくる方向に来てみた、とかいろんな説があるみたいだけど、他の人同様に僕だって納得できない。

右手側には次々にざぶんざぶんと波が打ち寄せるが、その左側は低木。この島はかつては木々に覆われる豊かな土地だったと聞いた気がする。それもモアイさんを運ぶためとかに切り倒してしまって今みたいになっているんだとか。

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今日は行かないのだけれど、左手側を山の方に進んでいくとモアイさん製造工場となっている山がある。つまり、その山の石を切り出してモアイさんを作っており、それが途中で投げ出された現場があるのだ。そこからモアイさんを島の四方八方に運ぶのにどれだけのエネルギーと木々が費やされたのか。またモアイさんの被られる帽子はどのように被せたのか(博物館に説が掲載されている)。むむむ、謎だ。

一説によると部族ごとにモアイさんと建ててて、そのの大きさを競うことで力を誇示したんだとか。とにかくおっきい大阪城とかを作ったのと同じような理論があるんだとかなんだとか(ハンディキャップ理論)。大阪城見たことないけど。

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そんなことを考えながら僕はPodcastを爆音で流しつつ、爽やかに汗を流しながら海沿いを走る。

しばらく走っていくとモアイさんが15人行儀よく並ぶ「トンガリキ」と呼ばれるエリアに出る。そう、四国のクレーン屋さんであるタダノ社が倒れたモアイさんを立て直したので有名なモアイさんたち。

なんとなくガイド無しでは入れてくれないとわかってきていたけれど、入り口のブースのお姉様に「入っていいっすか」と聞いてみると案の定「だめ」って一蹴された。いいもん、一昨日に見たし遠くから見るもん。

ここの15人のモアイさんは本当に圧巻だ。ある区画を除いて基本的にモアイさんたちはこの島の内側を見ているが、トンガリキにいる彼らは今日も島の内側をぼんやりと見つめている。

モアイさんたちはこの島の何を見てきたのだろうか。「人間って本当愚かだよねー」って遠くから訴えてきている気もする。

南の島の容赦ない太陽と優しい風、海のブルーが今日も気持ちいい。

僕は目的地ということにした北の方にあるカフェに向かうことにする。

続く

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