「30、29、28、・・・」私は電波を受信しており正確であると信じている左腕の白いG -SHOCKを見ながらカウントダウンを始める。
2020年まであと30秒を切った。
一緒にいた日本人宿で出会った人も何人か一緒にカウントダウンを始める。しかし、そんな真横でペルー人と思しき人が
「15、14、13・・・」と我々より15秒ほど早くカウントダウンを始めやがった。
* * *
カサデルインカのバルコニーで聞いていたとはいえ、爆竹が目の前でなると流石にびっくりした。
2020年まで10分を切ったクスコのアルマス広場は、雨が降っているのにもかかわらずかなりの混雑だ。身動きが取れないほどとは言わないが、注意していないと一緒にいる人を見失ってしまいそうだ。
エネルギー溢れるアルマス広場は黄色いアイテムをつけた人がやはり目立った。足元には黄色いプラスチックだか紙だかわからない数センチの物体が落ちている。
お酒を飲んで大声だ騒ぐ者、歌う者、爆竹を鳴らす者、花火を打つ者。ちょっとしたカオス状態だ。
「熱い!と言うか痛い!こんな混んでるのに爆竹足元でやる!?」
アルマス広場の中に入ってしばらくしたところで、爆竹が一緒にいた日本人の女性の足元で破裂したのだ。
確かにこんな混雑の中で爆竹をやるのは迷惑な話だ。花火は上にあげていたのか、人に当たる様子はなさそうだ。花火の写真を撮ったりして盛り上がる。
10人近くの日本人と共に来ていたが、なんとなく皆集まっておりワイワイガヤガヤ状態。
そんなこんなしながら時計を見てみると残り30秒となっていた。
私はそれに気がついて英語でカウントダウンを始める。
「30、29、28、・・・」
しかし、カウントダウンを始めた頃に隣にいたペルー人と思しき人たちが
「15、14、・・・」とカウントダウンをし始めるではないか。私はG-SHOCKの精度を信頼しているし、スマートフォンも私のカウントダウンに合っているから自信がある。
とはいえカウントダウンの流れは止まらない。私たちも時間を早めて
「5、4、3、2、1!A Happy New Year!!」
私は喪中ではあるが、まあいいだろう。
周りにいるペルー人、観光客、宿の仲間たちも「Happy New Year!!」と騒ぐ。ハグをするものは残念ながらいなかったが、ハイファイブをかましたり喜びに満ち溢れる。
そして私たちの時計も新年を迎えた。
「Happy New Year!」
「絶対時間ずれてますよね!でも二回祝えたからいっか!」
なんて言いながら二度目の新年を祝う。写真を撮ったり、動画を撮ったり。新年はなんておめでたいんだ。
友人が「2020メガネ」を取り出して配布する。
「いやいやいや、明らかに遅いでしょ!」と私は言いながら受け取って喜ぶ。他の日本人も「えー次貸してください!」とか言って写真を撮ったりなんかして。
そして、日本から14時間遅れて我々も2020年に踏み出すことになった。
(続く)
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