陸路で国境を超えたことは初めてではなかったが、それは徒歩だったりタクシーだったりで、バスでの国境越えは一時的にしたぐらいしかなかった。
普通に考えれば分かったのだが、揃いも揃ってなぜ普通に考えなかったのか。
そもそも予定の鉄道に乗られなかった
バクーからトビリシは多くの人は鉄道で移動する。別の記事に書いたようにあらかじめバクー・トビリシの鉄道チケットを抑えておらずバクー中央駅で予定の夜行列車を取ることができなかった。
バスもほぼ一杯だったが、なんとかラスト5席のうち1席を確保することができた。それは良かった。
同じような日本人もいた
案の定、私のように夜行列車に乗ることができなかった日本人が私を含めて4名いた。皆バックパッカースタイルで旅慣れてそうな印象である。
私はバスに乗り込むなりすぐ爆睡をしてしまっていたため、隣が日本人ということに気がついたのは途中休憩のサービスエリアのような空間だった。
「日本人の方ですよね?」
「あ、そうです。トビリシに向かうんですよね?」
挨拶をしてそんなありきたりの会話をする。ただし、深夜だったのでバスが動き出したタイミングで再び寝ることにする。
* * *
7時過ぎ。明るくなって気がついた。
バクーからトビリシへ進むバスが妙に遅い。
スピードを上げたりゆっくりになったり、そして止まったり。バスが不調なのか不安になった。
「このバス、大丈夫なんですかね」
「本当ですよね、妙に遅いし。国境も近いみたいだし・・・大人しく乗っているしかないですよね」
結局止まったりしてる理由はわからずじまいだったが、国境までは謎の緩急をつけた運転で進んだ。
そして始まる、国境越え!
「陸路で国境越えってあります?」
「ありますよー。タクシーとか徒歩ですけど。Oさんはいかがですか?」
「そういえばないなぁ」
そんなのんきな会話をしてバスから降りる。
「荷物って持って行きますよね」私が尋ねる。
「みんな身軽じゃないですか。置いていけばいいと思います。ほら、あの二人組みの日本人も」
そう、ここから絶望の1時間が始まるのだ。
はい、トラブル発生!
普通に考えれば大丈夫なはずがないではないか。エアポートであれだけ厳密に入国したのだから。だが出国に関しては大丈夫なものなのかもしれない。
まずはアゼルバイジャン側の出国。私は漠然と不安を覚えていた。
さっき見た通り皆身軽だ。パスポートと財布なんて人もいる。
Oさんと一緒に普通に出国する。混雑はしているが、ちゃんと流れてはいる。セキュリティチェック、パスポートコントロールも普通だ。
特筆事項はない。
少し歩いてジョージア側の入国。
なんてことはない、こちらも普通の入国だ。ジョージアは日本人には通常ビザが必要ないためスムーズに入国。
ほどなくしてバスも来る。
同じバスに乗っていた日本人二人組がいる。
「同じバスですよね?バックパックとか荷物ってどうしました??」と聞かれた。
「え、バスの中ですけど・・・」
「うちらもですけど、アゼルバイジャン側に置いていかれてるみたいですよ!」
「!!!」
私とOは焦る。一応バスの中をチェックする。バスには自分がテーブルの上に置いておいたイヤホンと菓子が放置されてるだけでバックパックが消えている。
バスの運転手が現れた。
「荷物はアゼルバイジャン側だぞ!!戻れ戻れ!!」
そんなことを言われた。おいおい。
我々阿呆な日本人四人はアゼルに再び行くべく、ジョージアの出国ゲートへ。ジョージアの出国はびっくりするぐらい混んでいて、パスポートコントロールまでたどり着けない。
無秩序な人の波に乗ること約30分、ジョージアの出国にたどり着く。
「アゼルバイジャンのビザは?」とパスポートコントロールに聞かれる。
「このE-VISAかな」とアゼルバイジャンに入った時のビザを出す。
「いや、これはOne-Wayで空港でしか使えない。もう使えないから出国させることはできない」と言われる。
マジかよ・・・我々4人は再び絶望する。
ここでラッキーなことに昨日のバタバタの際に用意したジョージアでのSIMカードがある。早速アゼルバイジャンのVISA取得のHPに飛んでみる。
”発行に3営業日かかります”
再度絶望。正直、諦めた。
* * *
そんなこんなであーだこーだしているとバスの運転手が現れた。
「お前ら何やってるんだ、早くしろ」と多分言った。なにせ英語が通じない。
我々はジェスチャーを含めてビザがないから入られない旨をなんとかして伝える。
「ついてこい!」
といって大混雑のジョージアの出国から再びバスがあるところに戻っていくと「待ってろ」と言ってバスが通ってきた自動車用の通路のところに運転手のおっちゃんはいく。
不安そうな我々四人をおいておっちゃんは姿を消していった。と思って数分後、四人分のバックパックを抱えておっちゃんが戻ってくる。どういうことだ!?
訳がわからなかったが、とにかく我々は荷物を取り戻したらしい。
おっちゃんに抱きついて感謝を述べておいた。降りる際に10USDのチップを渡した。
* * *
何が起こったか全くわからない上にオチも甘いのであるが、なんともバタバタした入国であった。我々四人、平和ボケした日本人と中途半端に旅に慣れてしまった我々に喝を入れる出来事となった。
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