確かにヨーロッパから見れば近いのだけれど東南アジアは日本から近いようで遠い。
例えばタイ。時差で見れば2時間とかだけれど、飛行機で飛ぶと成田まで6時間近くかかる。マレーシアは時差1時間しかないのに飛行機で7時間近い。
かつては日本軍が占領したりしていたが、遠い。
今回は東南アジアの地理・歴史や文化とかに焦点を当てて考えてみたいと思います。
東南アジア。ざっくりこの辺です。
ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ブルネイダルサラーム、東ティモール。ここから東ティモールを抜いたのがASEANです。
秘境はどこ?
ところで、東南アジアの秘境ってどこを思い浮かべましょう。
ブルネイダルサラームかな?いやいや、日本人は行かないけれど産油国で経済的を数字でみるとすごい。一人当たりの名目GDPは日本を上回るんだそう。
自分は勝手にラオスかミャンマーだよなぁって思ってました。メディアに取り上げられないし、有名な観光地も少ない(自分は知っているんですけど)。カンボジアも内戦とかゴタゴタあって弱いけれど、アンコールワットがかなり有名である上、日本人が結構行くところであるので秘境という感じではない。
ラオスの首都、ビエンチャン。
ミャンマーの経済首都、ヤンゴン。
都市として見るとヤンゴンはすごくエネルギーがあります。人が多くてワイワイガヤガヤしていて、悪くいえばカオス。ほとんど欧米のもの入っておらず、中国の資本もそんなに感じませんでした。それは政策により欧米のものを禁輸していたことが原因。なおミャンマーは1988年に社会主義から自由主義に移行しています。
一方でビエンチャンは密度が低く、人もおとなしい。一方でタイやベトナム、中国などの外資系の企業が多くみられるのが特徴。欧米人も多く、ピザなどはどこででも食べられます。こっちは社会主義なので同じような経済の中国やベトナムとよろしくやっているのでしょう。
こう言うのは実際に行かないとわからない。数字でミャンマーとラオスを比較してもわかりません。
人口はなんとASEANで6億人!
ASEANの勢いの一つには人口があると思います。合計6億人、日本の5倍です。
インドネシア 2.5億人
フィリピン 1億人
ベトナム9000万人
タイ6800万人
ミャンマー5200万人
マレーシア3100万人
カンボジア1504万人
ラオス680万人
シンガポール550万人
ブルネイ42万人
東ティモール 110万人
これは経済力というか勢いがあるわけです。経済的に日本企業が力を入れるのもわかります。
と行きたいけれど一筋縄では当然行かない。
なんせ歴史を紐解くと欧米の思惑がたくさん絡んでいる上、北には中国がデーンっているし、山岳民族もいるし、社会主義の国家もある。
そして地域によって宗教が全然違ったりする。
あまり存在感は感じない?宗主国が違う。歴史が違う。
東南アジアは地域によっていろんな国の植民地になっていました。
下の地図みたいな感じ。
黄緑色がイギリスで、ミャンマーやマレーシアなど。東インド会社が大活躍。
赤がいわゆるインドシナ半島でフランス。ベトナム・カンボジア・ラオスの三ヶ国で、インドシナ戦争・ベトナム戦争があった地域。カンボジアとラオスはまだそれから立ち直れていません。
青で示したのがオランダ。インドネシアです。
黒。東ティモールですが、ポルトガルです。東ティモールが単独の国家であるのはインドネシアとは宗主国が違って支配体系が違った、文化も違ったということです。
黄色がフィリピンです。スペイン、その後にアメリカ。いまでも極東の防衛戦としてアメリカが大切にしています。
一筋縄では行かない宗教事情
東南アジアに旅行に行く際に重要となる宗教。
黄色が仏教。ミャンマー・ラオス・カンボジア・タイです。ここにスリランカを加えたのが南伝仏教(上座部仏教)の5ヶ国です。日本に伝わってるのは北伝仏教(大乗仏教)で、東南アジアのは厳しいやつ。
青がキリスト教。宗教に積極的だったスペインの植民地ですもん。下の地図には出してませんが、東ティモールもポルトガルだったのでキリスト教。
黄緑色がイスラム教。暑い地域はイスラム教。ここはイスラム商人が中国と貿易をする上で中継するためにイスラム教になったとか。
しかしインドネシアはイスラム教に括られることが多いのですが、実際は非常に複雑な宗教です。なので国教としては5大宗教全てなんだとか。三代仏教遺跡のボルボドゥールはインドネシアにあって当然仏教寺院だし、バリ島はヒンドゥー教が有名。あとは土着宗教も残っていたりします。ほら、ガルーダっていう鳥。
当然全体としての傾向なだけで、ミャンマーにもイスラム教徒やヒンドゥー教徒はいます。
経済で見ると?
一人当たりの名目GDPだとタイは5位でブルネイより低い?ベトナムは?
一人当たりの名目GDPでみてみます。
シンガポール 58千 USD
マレーシア 30千 USD
東ティモール 22千 USD※
ブルネイ 10千 USD
タイ 6.6千 USD
インドネシア 3.8千 USD
フィリピン 3.0千 USD
ラオス 2.5千 USD
ベトナム 2.4千 USD
カンボジア 1.4千 USD
ミャンマー 1.2千 USD
※東ティモールは2013年。IMF2018年4月版より。
シンガポールやマレーシアが高いのは頷けます。でもデータはちゃんとみなきゃダメですよ。これは一人当たりの名目GDPなので農村部を抱えた地域は値が低くなり、人口密度の影響を大きく受けます。シンガポールのような都市国家は高い傾向になります。
あくまでGDPを人口で割った値なので、経済が加重平均として配分されているっていう前提です。なので実際の経済とはずれます。実際は偏りが大きいです。
東ティモールは人口密度が高く、また産油国であるため一人当たりにすると高いと推測できます。
GDPでみて見る
国家としてのGDPはいかがでしょう。
インドネシア 1,015.41
タイ 455.38
シンガポール 323.90
マレーシア 314.50
フィリピン 313.42
ベトナム 220.41
ミャンマー 66.54
カンボジア 22.25
ラオス 16.98
ブルネイ 12.74
東ティモール 2.61
日本 4,872.14
※単位:10億USD IMF2018年4月版より。
ほら、さっきと全く違う。逆に考えてシンガポールの強さがわかります。マレーシアも裕福ですね。ついでタイかな。そしてベトナムは比較的弱いようです。ラオスは人々としてはベトナムより裕福かもですが、国家としては脆弱。逆にベトナムは経済に勢いはありそうですが、人々はまだ弱そうです。
東ティモールとブルネイは国家の規模が小さいのでなんともいえません。富の配分を見るジニ係数とか合わせるとわかるのかも。
ラオス・カンボジアは人々としてはそれなりかもですが、国家としての経済力は脆弱。ミャンマーは勢いがついてきているようです。
当然他の指標も合わせて見なきゃだし、実際に行かないとわからないことはたくさんあります。
カンボジアの弱さは?
カンボジアの弱さはどこから来るのでしょう。
それは当然内戦の影響が根を引いている。と言うことです。ポルポト政権による虐殺で人口が足らない。知識階層がいない。
で、ベトナム戦争を終えて力をつけてきたベトナムの資本がたくさん入るようになっていると言う状況です。
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いかがでしたか。東南アジアに興味湧きました?
旅行に行く前、行ってからでもちょっと勉強すると世界が違って見えるかも。
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