大天井岳の由来ははっきりとはわからなかったが、読み方は必ずしも「オテンショウダケ」ではないらしい。日本山名ルーツ大辞典では「オオデンジョウダケ」らしいが、安曇野市の行政や国土地理院は「ダイテンジョウダケ」と読む。
確かに山小屋は「ダイテンソウ(大天荘)」と「オテンショウヒュッテ(大天井ヒュッテ)」である。
読み方はともかく、字面を尊重するとなんだか北アルプスのシーリングのような感じがする。
単純な私は、そんな天井めいた理由で今回の縦走で最も大天井岳に期待をしていた。実際、ここで最高の日の出を見た。
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前日の疲れで倒れるようにしてテントで一人寝入った。9月の半ばということもあり冷えることを想定していたが、3シーズン用のシュラフでちょうどよかった。念の為シュラフカバーとシーツは使っていたのだが。
前日は7時半ごろには寝た気がする。現在は朝3時半。紛いなりにも8時間眠ったことになる。それがよかったのか、前日の頭痛が嘘のように治っていた。
とりあえず朝ごはんを作ろう。
朝ごはんはおしるこにすると決めており、実行した。
おしるこ(ぜんざい)は山での朝ごはんに最適だ。というか餅が最適だと思う。何故ならば米やパン、カップ麺のような他の炭水化物ほど嵩まず、加熱によるアルファ化も短時間だ。無駄な汁も出ない。おしるこの基材にはフリーズドライのおしるこを使用する。お湯にそのフリーズドライのおしるこを溶き、餅を好きなだけ入れて煮る。おそらく薄いので、その場合はおしるこをふた袋使うなり、砂糖を入れて嵩を増させれば良い。
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テントの口からコッヘルと材料を出し、バーナーに火を付ける。友人にそそのかされてテントの中で使おうとしたが、やはり危なすぎるのでバーナーはテントの外で使おう。空にはうっすらとオリオンが輝く。
原因は何か分からないがバーナー自身での着火ができなくなっており、ライターを使用した。ライターは自分のものが使えなくなっており、たまたま友人が持っていたものを借りていた。
この山行で友人から聞いたな話であるが、山で使うライターは摩擦で着火させるフリント式(何か回すやつ)が良いらしい。手遅れだ。
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お湯を沸かし、コーヒーとおしるこを作り、朝食とする。イヤホンでクラシックなんかを聴きながらテントで食べるなんて、最高の朝食だ。
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朝ごはんを平らげ、ちょっとずつ明るくなってくる中、テントの撤収にかかる。これも30分もかからず終える。
ザックに収納し、大天荘にいる友人たちの元へ。友人たちも朝食を終えたようだった。正直、山小屋の朝食は羨ましかったが、テントで食べる食事も美味しい。そしてコストも考慮すると止むを得ない。
「具合い大丈夫なの?」
「昨日はごめんね、完全に復活した」
そう、昨日晩御飯が食べられなかったのが嘘のように元気になっていた。
なんて話しているうちにメンバーの五人が集まる。
「ご来光見えそうだよ、行こう」
徒歩5分足らずでいける大天井岳の頂上に向かう。
そこで、息を飲むご来光の写真を撮りまくった。
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