心理学とか経済学とかは全然専門外ですが、ちょっと興味があって手にとって衝動的に買ってしまいました。
あーそういうこと、が簡潔に詰まっていて、それがこういう用語になっているのかー、的な内容が豊富な「行動経済学 見るだけノート」。
わかりやすい挿絵があり、良書なので紹介します。
行動経済学って何?
わかるようでわからない行動経済学。
本書によると「心」をベースに人の意思決定プロセス・行動を分析する経済学の一分野らしいです。人の理屈に合わない行動も客観的に整理できます。
たとえば株価の動きとかセールの謳い文句とかそういう時の影響力も評価できる。
伝統的な経済学では「人は合理的な生き物」として常に行動すると、一方で行動経済学では「情」のようなものまで考慮される「人は不合理的な生き物」として行動するもの。
状況や環境も経済を動かす
行動経済学では状況や環境も経済を動かすものとして説明に使われます。
たとえば晴れた日には株価も上昇傾向になるとか、阪神が勝った時には焼肉、負けたら漬物みたいな。
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人間の不合理性
人間はおかしなことをする。明らかに受験勉強したほうがいいのにゲームに明け暮れたり。
完全競争が働いたら同一の時点・市場では同質のものは一つの価格しか成立しない「一物一価の法律」がある、というのが伝統的な経済学。現実はそうではない。
理論通りにいかないことは理論が間違っているのではなく例外的事象「アノマリー」として処理したのが伝統的な経済学。
直感がものを言う。「ヒューリスティック」
ヒューリスティックとはざっくり物事を掴むとか直感的に物事を理解するとかそう言う意味。あまり覚えてないけどマーケティングとかの本でも見た気がする。
たとえば「暑いから何か飲もう。あ、自動販売機だ」ってなった時。いろんなものがあります。これまでの知識や経験から「ジュースとかは甘すぎる、コーヒーは寝れなくなる。水だな」ぐらいの感じでざっくりと捉える。この迷うプロセスがヒューリスティックらしい。
卵とか地球儀とかテニスボールとかりんごとかあって、ざっくりと「丸い感じ」って言うのもヒューリスティックらしい。
新しいことって面倒臭い。「現状維持バイアス」
そうですねー、挑戦って結構ストレスたまるしエネルギーいるんですよねー。損失回避。今あるままにしておこうって言うのが「現状維持バイアス」。
従来よりも大きな満足度や経済的な価値を得られたとしてもそれを過小評価してしまいがち。
「これまでのやり方でうまく行っているんだから変える必要はない」って考えてしまう。
同じ銘柄のビールばっかり飲むのも現状維持バイアスなんだとか。
また「既に持っているものの方がいい」って考えるのが保有効果。
めっちゃわかるわー・・・新しいことに挑戦しよ。
最新の情報が意思決定に左右する。「近接効果」
わかる気がする。ものを買う時にレビューとか探して一番最後に見たものによって判断されてしまうのも「近接効果」。
飛行機墜落のニュースの直後に飛行機怖くなる、みたいな。
一気に広がった。「ハーディング現象」
群集心理とも言うハーディング現象。ペンギンが一匹海に飛び込んだら続けて他のペンギンも飛び込んでいく。安心感があるから。
iPhoneが一気に流行ったのもそう言うことか。
つまり人はペンギンだ。そして羊だ。何よりハロウィンだ。
最初の一言が重要?「アンカーリング」
「将来に希望を持っていますか?」「将来に不安はりますか」と言う質問。後者の質問であれば悲観的な考えを示す。当たり前だ。
それを一言でまとめた言葉がアンカーリング。特別値引き、とかそう言う文言で安く感じてしまうのもそう言うことらしいですよ。
行動経済学で考えるバブル
行動経済学ではバブルは例外的な事象「アノマリー」ではありません。
買収の噂とかそういったきっかけが群集心理に影響して、それが広がっていって対応を各々考えていって、それがバブルになってしまう。
ここで出てくるのがプロスペクト理論。「利益は確実なものにしたいけど損失は先送りにしたい傾向がある」と言う理論のようです。確かに損切りって度胸いるもんな。
株価の単なる値下がりの場合は「損切りはできない!」って考える。一方バブル崩壊の場合は売るから下がる、下がる、下がる!と言う恐怖心で全て売ってしまうという状況。
そして同じ500円でも、その儲けと損失は心理的なインパクトが違う。それを表現する価値関数っていうのがあるらしいです。
また失敗すると言い訳を探してしまうのが認知的不協和と呼ばれる現象で、株の取引でも失敗すると「市場が間違っている」と勝手に解釈してしまう。
日常の中の行動経済学
UFOキャッチャーがやめられない。「サンクコスト(コンコルド効果)」
サンクコストとは埋没費用。FXでもUFOキャッチャーでも特定のところまで何かしようとお金を使ってしまうとそれを回収しようという心理が働きます。
ある時点までにかかったのが「サンクコスト」で費用は戻りません。コンコルドの開発もそうだったし、何か趣味を初めてお金を使ってしまったのもそういうこと。
最近多いよね、不祥事。「集団思考の罠」
アメリカの心理学者アーヴィング・ジャニスさんは政策的な判断ミスを分析して集団の心理的傾向をモデル化しました。それは8つに分類できて、
(1)自分たちは絶対大丈夫という楽観
(2)外部からの警告を軽視して自らを省みない
(3)自分たちを正当として倫理や道徳を無視
(4)外部集団への偏見、軽視
(5)組織内で異議を唱えづらい
(6)組織の意思に対して疑問を持つことへの罪悪感
(7)全員の意見の一致が前提
(8)集団の合意を覆す情報を見ようとしない
・・・なんか日本企業の場合(5)(6)(8)とかが大きそう。これを読んでるみんなは気をつけような。
えー、みんなやってるよ!「ナッジ効果」
Nudgeとは注意を引くために肘で軽くつつく、という意味らしい。
コンビニで見る足跡マーク、ここで止まれというナッジ。
メールマガジンの登録に最初からチェックが入っていて登録したくない人が解除する、これもナッジ。
イギリスでは肥満抑制のためジュースコーナーのところに「High Suger」って書くとか。
ちなみに日本は環境省により2017年に「低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)による家庭等の自発的対策推進事業」が始まっているらしいです。
「おたくの電気代はお隣さんより3万円ぐらい高いっすよ」とか言って節電を促したりとか。
ナッジ、面白いです。
セールスと行動経済学
一度味わった喜びは忘れられない。「損失回避」「心の慣性の法則」
やっぱりiPhoneじゃなきゃね、的な。一回使うとそれが間違いでないだろうと思ってしまうので同じもに手を出す。
そしてそれが試供品であっても手放したくなくなる。サプリとかでも無料期間が終わったとき、サプリがない時に心の損失を感じる。それで買ってしまう人がいるので儲かる、的な。
いつも並んでるラーメン屋。「バンドワゴン効果」
いつも並んでいるといってみたくなるものね。それがバンドワゴン効果。これが流行っている、とかみんなと同じで安心、とかそういう心理状態にすることが大切。
一日50食限定、とかベストセラー商品、とかそういう売り文句で人が興味を持つのものもこれに該当するんだって。
TOEIC900点です。優秀な気がする。「ハロー効果」
何か目立ちやすい特徴で人を判断してしまうことを「ハロー(Halo)効果」と呼ぶ。過剰に好意的に捉えてしまったりする。英語できるだけじゃあダメやで。
俺は騙されないと(と思っている)。「フレーミング効果」
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絶対値に変えると一万円で500円・・・あれ、往復交通費の方が高いじゃん。
俺は騙されない(と思っている)フレーミング効果。要は言い換えです。
「試験まで一週間しかない」「試験まで一週間もある」とか。うまく使いこなせるようになりたいです。
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所感
本書で出てきた用語はなんとなくどこかで聞いたことあるようなないようなものが多く、それを整理するという意味でもとても勉強になりました。
一つの用語で事象を整理するとわかった気になってしまう、物事の説明の一助になる。
行動経済学、面白いです。
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