ロールモデルを探すことに意味があるんだろうか。
ただ、納得できる材料を探しているにすぎない。
材料がある程度揃っても決心ができなかった話。
5/30、少雨。
会社でご講演いただいた教授との会食が終わり、自宅へ帰る。21時。
今日は青年海外協力隊の訓練参加意思確認シートの締切日。
メールで出してもファックスで出してもいい。
モヤモヤがずっと晴れなかった。
今日が終わる。
やっぱり青年海外協力隊に行きたい。
けれど、2年後が怖い。
親と電話。当初、行けって言ってた親は今、やめておけっていう。
やっぱり思いが混じる。
セブンイレブンからファックスを出そうと、ファックス番号を押した。
23:58。
送信ボタンが押せなかった。
また親と電話した。
「大手をやめて行くようなもんじゃない(大手かどうかは置いといて)」
ーーー昔はそうだったかもしれないけれど、確実に就職サポートも増えてるし求人も増えてる。働き手不足も進んでる!
「他の人はどう言ってるの」
ーーー上司は最終的には納得してくれている。
「何のために行くの」
ーーー多分、結局は自分のためだと思う。そんなこと言ったら何のために大学行くの。自分のためにも社会のためにもなる。
「周りはもっと若いよ」
ーーーそうだよね。今より若い時はない。
「戻ってきたら中小企業とかだよ」
ーーー・・・知り合いが雇ってくれるって言ってる。大きくはないけど、添加物関係。
「じゃあ行けば」
ーーー・・・やめよっかな。
「あまのじゃく」
ーーー母さんに似た。
「ああ、行っちゃうのか」
ーーーそういえば、来年で父さんの10回忌だね。
「そんな経つのね。早いね」
ーーーやっぱり、行ってくる。
5/31 0:20。
最後になんだかんだ背中押してくれた母。
やっぱり怖い。仕事を辞めるのが怖い。キャリアチェンジも視野に入れていたのだけれど、それ以前に帰ってきてからのことが一番怖いことがわかった。
雨が止んでいた。
家とコンビニの間を右往左往。
ーーー行こう。
みんなサポートしてくれるし、同じ境遇の仲間。
やっぱり後ろ髪引かれた。
頑張って、また、さっきと違うセブンイレブンに向かった。
女性二人が店の前でボーナスの話をしていた。
ファックス番号を押すところまではできたのだけれど、やっぱり、送信が押せない。
全く押せない。
用紙を入れることはできたけれど、やっぱり度胸がなかった。
1:15。
何もできないまま、セブンイレブンを出た。
ーーーごめんなさい。やっぱり行くという決心はできなかった。
きっと、これじゃないんだ。想いが足らないのかもしれない。
悔しい。
断腸の想い。
5/31 朝。
終わった。
とはいえ、きっと今でもファックスとか電話とかすれば何とかなるんだろう。
何事もなく、こんな俺の思いを知らないまま今日も仕事へ行く。
仕事中に母から何度も着信があったみたいだ。
電話に出ることはできなかった。
結局、母は背中を押してくれたけれど、電話出たら背中もう一回押されるんだろうけれど、きっと俺には送信ボタンが押せない。
悔しい。
今日も流れて行く。きっと明日も流れて行く。来年も、2年後も同じように流れているだろう。
行くという決心はできなかった。
行かないという決心をしたわけでもない。
行くという決心ができなかった。
青年海外協力隊が夢ではない。
そのさきがきっと夢なのだけれど、いつからかそれがわからなくなっていた。
今の仕事が行き詰っていた。仕事の将来の見通しが立てられない状況になっていた。社会の役に立ちたかった。自分のできることを試したかった。新しい自分を見つけたかった。価値観を変えたかった。新しいことにチャレンジしたかった。海外に住んでみたかった。国際協力というものをしてみたかった。新しい仲間の夢を聞きたかった。世界の未来を語りたかった。大学生の時にできなかったことをしたかった。駒ヶ根で必死に学びたかった。新しいキャリアを考えたかった。
友人たちに会えなくなるのが怖かった。仕事を辞めるのが怖かった。帰ってきたからの仕事が怖かった。社会に馴染めるかが不安だった。お金が不安だった。人生プランが心配だった。お給料が下がって婚活とかするのが怖かった。実家に帰ってまだ出て行くのが怖かった。仕事で迷惑かけるのが嫌だった。大学の同期と差が開いて行くのが怖かった。環境変化に何度も耐えるのが怖かった。
仕事にモヤモヤして受けて、受かったけれどなぜかそんなに喜べなくて、不安と希望がずっと葛藤して、ゴールデンウィークには現実逃避できて、気がつけば最後の締め切りが通り過ぎた。
きっと、明日は行きたいと思っているし、明後日は行かなくてよかったと思っている。
2018年は水無月に入る。俺は、自分が思っていた以上に臆病だってわかった。
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