【北海道 礼文島】なだらかな山と海の絶景(3)-日の出、使われない空港、北のカナリアパーク。

DSC9564 scaled - 【北海道 礼文島】なだらかな山と海の絶景(3)-日の出、使われない空港、北のカナリアパーク。 旅行記

この日はせっかく集まった仲間たちと飲んでいたかった。

利尻島についた日は、その翌日の利尻岳に登るために3時半に起きればならず、早く寝る必要があったためほとんど飲んでいない。利尻岳に登った日は眠たすぎてお酒どころではなかった。だからこの日はようやく仲間たちと飲める。

と思っていたが、行きたい人で翌朝に朝日を見にいこうとなったため程々にしておいた。

この日の旅程:キャンプ場→金田ノ岬→空港→キャンプ場→北カナリアパーク→メノウ浜→フェリーターミナル→稚内へ

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ということで翌日も5時前に起きた。

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僕たちは準備をして5時半ごろの日の出に向けてクルマに乗り込んだ。友人のスマートフォンと連携したクルマのスピーカーからスポティファイが流す明るい曲を味わう。時にスポティファイプレミアムのCMが入り変な気分になる。

うっすらと空が見えるようになってきたが、この日も完全な晴れとは言えず、東の空にも雲が浮かんでいた。

「やっぱり晴れないね」

「今日もダメか」

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だけれど、日の出こそ見られなかったものの、紫色の空は綺麗だし雨は降っていないしそんな問題じゃない。

目的地の金田ノ岬につく。ウミネコたちだろうか、鳥たちが緩やかに紫色の空に堤防を蹴る。

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毎日日は出ている。少しずつ時間を変えながら、色を変えながら。永遠ではなく、一瞬。この紫色の空だって毎日ではないのだ。

「もう少し東の空が見えやすいところに行こうか」

僕たちはインプレッサを再び進める。太陽は登った時間になっていた。

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* * *

すっきりとした日の出は見られなかったが新しい今日が始まった。

「キャンプ場に帰ろう。せっかくだから上の方行ってみようか」

ちょっとだけ遠回りをしてキャンプ場に戻る。そう、僕たちのうち何人かは朝の船で稚内に行かねばならず、それまでに礼文島を回りたいのだ。

「あ、空港だ。めちゃくちゃ小さい」

そこには現在は使われていない礼文空港があった。この空港は日本最北端の空港であり、現在は休港中である。定期便は稚内との間に一日1便、19人乗りのコミューター機が運行されていたが2003年に廃止された。

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とても儚く、だけれど、だから美しい。島民の記憶とともに永遠となるんだろう。登ったばかりの太陽と、過去を詰め込んだ空港。

僕たちは少しだけクルマを走らせて止めた。

「わー、すごく綺麗」

朝日に照らし出された街が、ここでも美しく照らし出された。

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* * *

「じゃ、先行くねー」

先に礼文島を発つ僕たちはマーチに乗り込んでクルマを南に走らせる。海の向こうには利尻岳がすっきりと輝いていた。

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「ようやくちゃんと見られたね。こういう時に登られたらよかったんだけれど」

そんなことを言いながら、北のカナリアパークに向かう。

そこはとても穏やかで、優しい公園だった。本当はここの売店でソフトクリームを食べたりしたかったのだけれど、当然そんな朝早くからは営業していない。

この公園の小学校の校舎は「北のカナリアたち」という2012年の映画のセットとして作られたもののようだ。すっかり青くなった空の下に利尻岳が輝いた。

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できれば桃岩展望台まで行ってみたかったのだけれど、そこに行くための道が現在通行止めみたいだ。

もうフェリーまでの時間はたくさんはないから遠くにはいけない。だけれどフェリーターミナルでボーッとするのはもったいない。

僕たちはマーチを走らせ、トンネルを通って礼文島の西側のメノウ浜に行ってみた。新しいトンネルみたいだ。このトンネルができる前は西側の島民は山道を超えてフェリーターミナルのある栄える東側に行っていたんだろうか。余計な心配だ。

礼文島の東側の穏やかな海岸線とは違って崖になっていた。その近くで昆布が干されている姿を見た。

「写真を撮っていいですか」

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太陽に照らされる昆布は、僕たちの食卓に旨味を広げる。

昨日にこの礼文島に着いたとは思えない充実感、だけれどもっとここにいたいという想いを抱えて、僕たちはフェリーターミナルに向かった。

* * *

旅は一人でも楽しい。僕の場合、海外の場合は一人で行きたい。一人の方が考えて、感じて、調べるからだ。だけれど友人と行っても楽しいことは知っているから、タイミングが合えば友人と行く。友人と行く場合は甘えたりしてしまうし、あまり調べなくなってしまう。だけれど、友人の視点で一人だと気がつかないことに気がつかされることも多い。

国内の場合は誰かと行きたい。国内のひとり旅はなんとなく寂しい感じがするし、手持ち無沙汰になってしまう。どうしてかはわからないけれど、僕にとってはそういうものみたいだ。

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