剱沢テント場に到着すること、剱岳が正面に見えた。と思ったら消える。そんな繰り返しの空。
まず私たちは幕営する場所を探す。広大なテント場で、コロナ禍においても予約せずでテントを張らせてもらえるのも頷ける広さだ。
剱岳を正面に見て左側に水場がある。その近くにしてみる。お手洗いはやや遠いがまぁ我慢できよう。
若者Sの大学生のようなザック、というかリュックからテントが出てきてびっくりした。マットとかをつけていないからテントも持っていないものだと勝手に思っていた。
女性二人はテントを持っていないため、部屋割りは女性二人で若者Sのテント、若者SはMさんのテントに入れてもらう形となる。円満解決。
テントを張ったはいいものの、風が強く油断すると飛んでいくのではないかと思うほど。それでは困るのでペグを打つことにした。
とりあえず受付を済ませ、ひと休みする。近くの水場に行ってみたが、そちらは水が出ないようだった。受付の近くで水が組めるのでそちらで水を組むことにした。若者Sが持ってきた500gの柿ピーは一向に減らない。私は柿ピーとか煎餅とかを好まないため三カケラぐらいとって次に回した。一方、チョコ菓子は人気で、渡したらすぐになくなった。
* * *
9月の立山の夜は冷える。
私たちは寒い寒い言いながら思い思いの食事摂った。
「こんな大勢で登るの初めてかも。これはこれで楽しい」と今年健脚キャラに転身したMさんが言った。旅もそうなのだが、登山も一人で登るのと誰と登るのでは感じることが大きく異なる。一人には一人の楽しさがあるが、見落としてしまうことも多い。誰かと登るとその分の発見がある。けれど、一人でないと感じられないこともたくさんある。
冷えるテント場だが、若者Sはウィンドブレイカー程度しか持っておらず、しかもシュラフの下に敷くマットもないという。そんなでは本当に体調を崩しかねないので、マットはもう耐えてもらうしかないが、私はフリースとジャケットを貸すことにした。
翌日に剱岳を登りたいという意見もあり、実現可能なら私も登ってみたい気持ちがあったため剱沢小屋にヘルメットを借りられるか聞いてみた。
「ごめんなさい、テントの方には貸せないことになっているんです」と拒否されてしまい、剱岳登山は来年へ持ち越しとなった。
* * *
やはり夜は冷え込んだ。みんな持っている銀マットがあっても底冷えした。
なお、その後の涸沢のテント泊では銀マットの上に夏用のエアーのマットを敷くというソリューションで底冷えは免れた。
そんなことより、気がつけば空には星が散りばめられていた。が、やはりすぐにガスに覆われてみられなくなってしまった。
* * *
翌朝。暗い中でちゃんと目覚めた。昨日のようにガスに覆われていることもなく予報通り綺麗な空。今日は期待できそうだ。
剱岳の方にはヘッドライトで歩く人たちが見える。来年挑戦かな。
朝4時半ごろに出発と言いながら、剱沢小屋の方で写真撮影等を行なっていたため6時半ごろの出発となった。ままある。
と言うことでようやく登山に出発した。今日も余裕なはずだ。
まずは別山。ここに登るだけでも剱沢テント場のカール地形が美しく見える。
気がつけば昨日同様、歩くのが早い人とそうでもない人に分かれていた。人数が多いとそれでも対して問題にならないのは良い。
北アルプスは本当に日本の背骨みたいだ。ゴツゴツしていて格好いい。背骨が格好いいのかは別の話だけど。
富士ノ折立を越え、次の山、大汝山(おおなんじやま)、そして雄山(おやま)へ向かう。
続く。
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