最近会社で製品開発とかのテーマを見つけるときにブルーオーシャン、レッドオーシャンって言葉をよく耳にします。
言うのは簡単だけど、実際ブルーオーシャンって探すの難しいしよくわかんないよね。言葉が先行している感じがする。
って思っていて読んでみた本です。マーケティング関連の本として読んでおいて良いです。
[新版]ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する (Harvard Business Review Press) 新品価格 |
既存市場で競争してはいけない
無意識に二つの基本前提を受け入れて行動してしまっていることが多い。
・市場の垣根や業界の状況は変えられないため、それを元に戦略立案をしなくてはいけない
・上記で成功するためには差別化か低コスト化のいずれかが必要
でも、それは違うんだよ。特に二つ目、これは低コストと価値がトレードオフになっていると言うこと。両立を目指すのがブルーオーシャンシフト戦略。
ブルーオーシャンシフトを成功へと導く三つのカギ
(1)ブルーオーシャンの視点を取り入れて視野を広げ、事業機会の所在についての考え方を改める
→人々の視野を広げ、正しい方向へ導く
(2)商業的に旨みのある製品開発をして新たな市場を開拓するためのツールと指針を持つこと
→創造性を培い、新たな価値コスト・フロンティアを開拓するためのツールとその使い方
(3)人間らしさをプロセスに組み込むことで自信を培う
→皆が一人称でプロセスに取り組む。士気を落とさない←超重要だと思う
↑
式根島のBlue Ocean
新しい市場はどうできる?
筆者らは新しい市場のでき方を撹乱的創造と非撹乱的創造の二つに分類しています。
撹乱的創造(筆者の造語)
代替によって生じる市場創造機会を包含。下記の二つのパターンがあります。
創造的破壊
代替の概念が大きい。優れた技術・製品・サービスが旧来のものに取って代わる。
例:フィルムカメラがデジタルカメラになった
撹乱的イノベーション
劣った技術が登場してやがてそれが優れた技術になり、市場リーダーを駆逐する。気付いたときには手遅れになっている可能性があるようなもの。
例:ディスクドライブの主力メーカーが駆逐された
非撹乱的創造
セサミストリートのように既存市場を撹乱することなく新しい価値を作り出した。グラミン銀行の無担保少額融資、クラウドファンディング、スポーツクラブ云々。IT関連で新しく生まれる市場もこっちかも。
新規市場開拓ための考え方
業界の長年の懸案を打開する解決策を示す、再定義した上で解決する、真新しい問題を見つけて解決・真新しい事業機会を掴み取る。この三つの基本手法があるとのこと。
(1)業界の長年の懸案を打開する解決策を示す
CDがMD、mp3。既存市場が根本から再創造されて従来の境界を乗り越えてレッドオーシャンがブルーオーシャンに転換。
(2)真新しい問題を見つけて解決する
セサミストリート、BOPビジネス。非撹乱的創造。言わずもがなそもそものブルーオーシャン。
(3)業界の長年の懸案を再定義した上で解決する
グループセブの揚げないフライドポテト。「最高のフライドポテト調理器をどう開発するか」を「油で揚げずに健康的で食欲をそそるフライドポテトをどう作るか」と再定義。
↑
ラトビア・ユールマラ (バルト海)のBlue Ocean
ブルーオーシャンシフトのプロセス
ステップ1:準備に取り掛かる
自社分析。PMSマップ(Pioneer:パイオニア, Settler:安住者, Migrator:移行者)などを用いてセグメントを理解すると良い。安住者は現在の基盤。パイオニアは将来の安住者となりうるもの。
このPMSマップを作り、仮に何もしなかった場合はどうなりそうかという共有も大切。
そしてチーム作り。職制・職能にある程度のばらつきを持たせて担当者意識を持たせること。幅広い視野を持てるようにすること。
ステップ2:戦略
戦略キャンバスを作る。これは自社の製品・サービスが何にどれぐらい力を入れているかを他社製品と比較・分析、ビジュアル化。
(1)競争要因、(2)各要因の提供度合い、(3)自社と他社の戦略プロフィール、(4)自社と他者とのコスト構造、を明確に示す。
これを作ることでなぜレッドオーシャンになったかがわかる。業界の現状をマクロの視点から把握し、表現できるようになる。他社にはない項目や全く違う挙動をとるグラフを書くことを目指す。
ステップ3:目的地を思い描く
業界の規模拡大を妨げているのは何か。インクジェットプリンタのインクか。
それを探し出すために効用マップというのを用いる。買い手の視点に立つためのツール。
横軸がステージ、縦軸が項目。軸は基本的に固定。
そして、非顧客層に目を向ける。非顧客層は三つのグループがある。
(1)潜在的な非顧客層。市場のすぐそばにいて、すぐに離反しかねない顧客。
仕方なく購入。他にいいものがあればすぐに乗り換える。
(2)断固たる非顧客層。検討した結果、意識的に購入を見送る顧客。
何か拒絶した理由がある。それを拭い去ればまた振り向いてもらえる。
(3)未開拓の市場。
-----その他全員ではない。知らないだけ。クレジットカードなどで個人間の支払いとか。
ステップ4:道筋を見つける
代替業界に学ぶ
×同業他社に着目する
○代替業界に学ぶ
-----別に新幹線でも飛行機でもいいし。航空業界だけ見てるわけにもいかない。
業界内の他の戦略グループから学ぶ
×戦略グループ内における競争上のポジションに焦点を当てる
○業界内の他の戦略グループから学ぶ
-----健康食品の売り方やカウンセリング、いろんなアプローチが関わっているよね。
別の買い手グループに目を向ける
×業界の既存の買い手グループに焦点を当てる
○複数の買い手グループを見渡して再定義
-----小売店のスタッフに売ってもらいたい製品の売り方も重要だ。
補完財や保管サービスを見渡す
×業界が定義する製品・サービスの価値をもとにその最大化に焦点を当てる
○顧客が求めるトータルソリューションを見渡して製品・サービスの価値を増減させる補完財・補完サービスについて理解する
-----硬水の海外では電気ケトルに石灰ができる。それをすくうのは面倒臭い。
機能思考と感性思考を切り替える
×業界の機能思考と感性思考の枠内で費用対効果を高めることに焦点を当てる
○自業界ないしターゲット業界の機能思考・感性思考を問い直す
-----レジの列が長くて薄暗いスーパーマーケットには行きたくない。
外部トレンドの形成に加わる
×外部のトレンドへの適応
○トレンド形成に加わる
-----ストリーミングで革命的なネットフリックス。
新品価格 |
↑
マルタのBlue Ocean
四つのアクション
よくありますが、「減らす、なくす、増やす、創造する」を試してみましょう。とのこと。
* * *
普通のマーケティングの教科書的な本とは違って、新しいアプローチ?が書かれていて印象に残る良書です。
ぜひご一読ください。
* * *
技術者にいう。市場を生み出すのは技術のイノベーションではなく大切なのはバリューイノベーションだ。スタバだって技術のイノベーションを起こしていないしIBMがパソコンを最初に生み出したわけではない。生み出した技術をどう市場に認めさせるか。それがビジネスとしては重要だ。
・・・ちなみに俺も技術者だ。
↑
キューバのBlue Ocean
新品価格 |
[新版]ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する (Harvard Business Review Press) 新品価格 |
コメント