エジプト。
ロマンの塊のような響きではないか。
四大文明の一つで、ナイルのたまもので、ピラミッドがあって、砂漠で、湾岸戦争とかでいざこざがあって…
そんなエジプト、コロナ明け4発目の旅ということ、23年年末~24年年始に向けて旅をしてきた。
エジプトってどんなところだっけ?
さて、まずエジプトという国だが、人口1億930万人(2021年 世界銀行)で、面積約100万平方kmで日本の2.7倍ほどだ。駐エジプト日本大使館によると国土の95%以上が砂漠ということで、一体どれだけの密度で住んでいるねん、と言いたくなる。
ジェトロのWebサイトによると天然ガスが取れるようで、輸出額の一位は鉱物製燃料(石油製品)。続いて肥料、3位がプラスチックで、かなり石油や天然ガスに依存しているようだ。この天然ガスだが、2015年に地中海沖で天然ガス田が見つかったり。17年から国内供給を始めている。液化天然ガスは商売がうまくいっているようで、JETROによるとトルコに輸出していたものがオランダへの輸出も始まったんだとか。
一方、輸入一位も鉱物製燃料。こちらは石油のようだ。そして小麦などの穀物が続く。この小麦の輸入は世界第三位(2022年FAO)で、トルコに次ぐ。ちなみに、とうもろこしの輸入量も世界で八位。
輸出入ともに国際相場に左右されてしまう状況のようだ。石油天然ガスもさることながら、この小麦がまたエジプトさんにとって頭の痛い問題で、2020年の小麦の輸入の60%をロシア、24.6%をウクライナから輸入しているという。
しかも、かねての新型コロナウイルスの影響もあって外貨不足が進み、インフレが進んでいる。外務省のWebサイトによると、2022年12月のインフレ率はヘッドライン・コアともに20%超のよう。
旅人的に言えば、目下の円安もあり、かねてのエジプト旅安い安い神話が潰えているということである。
ちなみに、日本は小麦の自給率は13%、とうもろこし(飼料用)は1%ほど。とうもろこしについては世界で3番目の輸入大国な上、輸入元は違うものの、エジプトさん同様、こんな海外に依存してどうすんねん、って状況。
見どころたくさん!だから網羅には時間が足らない…
さて、そんな小難しいことは専門家に任せるとして、旅のことを考えよう。
観光としてエジプトに行く理由はいろいろあると思うのだが、例えば、
①ピラミッドとスフィンクスを見に行く
②コシャリやハトを食べに行く
③紅海でダイビング(ハルガダ、シャルムエルシェイク、ダハブ)
④シナイ山を登る
⑤砂漠デビュー
⑥ナイル川クルーズ
⑦カルナック神殿やらアブシンベル神殿やら
⑧スエズ運河を見る
⑨カイロとかアレクサンドリアとか聞いたことある街に行ってみる
⑩気の迷い
といったところだろうか。
これらのうち、シャルムエルシェイク、ダハブ、シナイ山はシナイ半島であるため、それだけで一週間コースになりかねない。
冷静に考えて、旅が一週間程度であれば
(1)ナイル川近郊
(2)カイロ+シナイ半島+α
ぐらいが現実的。
(1)ナイル川近郊
ナイル川近郊は、まぁダイバー以外が概ねエジプトと言われて頭に思い浮かべる景色ではなかろうか。
アレクサンドリアから始まり、カイロ、ルクソール、アスワン、アブシンベルと観光都市が続くエリア。メジャールートだろう。
カイロを起点とする場合、概ね以下のようなスケジュールだろうか。
Day1 カイロ
Day2 カイロ→ギザ→カイロ
Day3 カイロ→ルクソール
Day4 ルクソール(カルナック神殿とか遺跡たくさんある)
ルクソールにたくさん遺跡があるため、この辺りで満足してしまう人もままいるようだ。時間があるのであればもう少し南下して、
Day5 ルクソール→アスワン(遺跡とかある。スーク(商店街)も楽しい)
Day6 アスワン→アブシンベル→アスワン
Day7 アスワン→カイロ(飛行機)
といったところだろうか。アスワン→アブシンベル→アスワンは早朝発のツアーがあるので、それで行くのが良いだろう。
このルートをベースに、興味のある街を追加していくのが良いだろう。上記ルートはカイロを起点にナイル川を南下しているが、逆回りも然り。
(2)シナイ半島
こちらのルートは取られなかったので参考程度にして欲しいのだが、行くとしたら、
Day1 カイロ
Day2 カイロ→ギザ→カイロ
Day3 カイロ→シャルムエルシェイク(飛行機)→ダハブ(タクシーとかで一時間とか)
Day4 ダハブ
Day5 シナイ山
Day6 ダハブ→シャルムエルシェイク(飛行機)→カイロ
といったところだろうか。シャルムエルシェイクやダハブは紅海に面したリゾート地で、ダイビングが好きな人には名の知れたところだ。さらに、ダハブは居心地が良くて旅人が沈没するスポットのようだ。行ってみたい。
シナイ山は旧約聖書に出てくる聖地的なところの一つで、モーセさんが山頂で神から十戒を賜ったところ。三大一神教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)で重要なところ。
ちなみに、このシナイ半島だが、イスラエルとエジプトが中東戦争で取り合っていた香ばしい土地なのでそれなりに注意が必要。
エジプトのビザ
さて、多額のODA(つまり税金)と引き換えにパスポートに恵まれた日本人が見落としがちなのがビザ。どこの国でもいけると勘違いしてしまう。
そんな勘違いしている人はまずいないのだが、このエジプトはビザが必要な国。
とはいえ、ビザというか、税金みたいな感じのもので、空港で25USD払えば終わり。パスポートコントロールの手前にある窓口で支払ってシール(ビザ)をもらう。そのシールを持ってパスポートコントロールに行く。以上。
エジプトの物価
エジプトの物価は安くない。まぁ日本とかに比べると安いが、油断していると結構高い。5年前とかはかなり安かったようだが、それは過去の話で、今はピラミッドに50USDぐらいかかる。他の遺跡も600エジプトポンド(エジポン;3,000円ぐらい)
ちょっとちゃんとしたレストランに行くと500エジポン(2,500円ぐらい)となる。コシャリとかいうパスタとも米とも判断できぬ食い物を街中で食べても150エジポン(750円ぐらい)で、聞いていた話と全く違う。宿は10USDぐらいからと割とリーゾナブル。
この国だが、クレジットカードは絶対持っていくべし。博物館のチケットはクレジットカードのみとかがあるためだ。ただし、クレジットカード使えないところも多い。
また、ドルやユーロも多めに持っていくのが良い。というのも、この国の通貨エジポンの信用度が下がりまくっているようで、「ドルで払え」とかいうところも多くあるためだ。また、場所によってはユーロが良かったりする。
そのため、手段としてはドルを多め、ユーロもいくばくか、必要に応じてエジポンに変えるまたはATMで下ろすという手段が良いだろう。ATMは結構たくさんある。
エジプトの観光環境、治安は?
エジプトは2013年のクーデター以降、きな臭い状態が続いていた。
2011年に長期独裁的なムバラク政権にエジプト革命で倒された。その後自由選挙でムスリム同胞団のムルシーが大統領となったが、13年に軍がクーデターを起こした。その後シシ氏が何らかの選挙を何度か経て、2030年までの長期政権を築いている。
2023年末時点の治安は、実感として良好。
確かにバクシーシ(チップとかめぐみとかそういうの)をねだってくる輩は多いが、基本的に危害的なものはなさそうである。地下鉄や博物館、遺跡等の入口では手荷物検査がある。また警察も結構いる(信頼でいるかは不明)。そういったものが奏功しているようである。
カイロ、ルクソール、アスワン、ハルガダの栄えたエリアであれば、夜ひとり歩きしても大丈夫そうである。ただし、場所によっては危ない可能性もあり、治安は常に変化するものなので相応の注意をすること。
* * *
以上、エジプトについて理解は深まっただろうか。
周到に準備して、楽しく旅ができることを願う。
コメント