不用意に「島に行く」と言うと「え、沖縄行くの?」と返ってくることが散見されるが、本土5つを合わせて島が6,852島あることを考えると、うち160島の沖縄諸島に行くと思われる謎の先入観はメディアが作り出した妄想に他ならない。
本州には3,194の島があり、北海道には島が508ある。つまり、同様に確からしいのであれば、単純に考えて上記のような反応をするよりも「本州の島に行くの?」と返すほうが期待値的に推論が正しいことになる。
しかし、現実的には旅先は同様に確からしくなく、「島といえば沖縄」は「海外旅行といえばハワイ」と同じように定番が決まっているのだからしょうがない。
では定番はどのように決まるのか?市場シェア、メディアや広告への露出、クチコミ等から勝手に醸成されていき、認知度が高い、相手もきっと知っているだろうと思うようになり、普遍的概念と思い込むことが複数名で生じる集団心理と考えられる。
定番は複数あってもいい。山といえば富士山であり、北アルプスである。東ヨーロッパといえばルーマニアでありベラルーシである。
つまり、島といえば沖縄であり北海道であるとも言えるわけだ。そして北海道の島といえば、利尻島、礼文島、奥尻島と言うわけである。
そんなわけで奥尻島に行ってきた。
* * *
なぜ奥尻島?
奥尻島を選んだ端的な理由は「何があるか分からないから」である。多くの旅もそれと同じである。
私が奥尻島を知ったのはSNSか何かで目にしたことがあるためである。偶然、リスペクトする旅仲間も奥尻島に行ったことがないとのことで、いつものようにとんとん拍子で行くことが決まった。
奥尻島には何がある?奥尻島の過ごし方 5選!
①まずはウニを喰らう
この奥尻島が属する奥尻町のマスコットキャラクターは「うにまる」さん。うにまるさんは名前の通りウニからネームアフターされたキャラクター。
マンホールの蓋から交通安全の旗までうにまるさんが書かれており、人口よりもうにまるさんの方が多いとも考えられるレベルだ。
そして街灯もウニがモチーフとなっているという、ウニの島なのである。
そんな奥尻島、ウニを喰らわないわけには行かない。
絶品の潮騒食堂。
なお、本州で食べるウニはそのほとんど(寿司でも瓶詰めでも)がミョウバン(食品添加物)で処理をされている。その処理をする理由としては、ウニは時間が経つと自己消化をしてしまう(自分の持つ酵素で自分を溶かしてしまう)ため、それを防ぐ必要があるためであり、流通上絶対必要となり、大体が聞かない。冷凍すれば良いのであるが、それだけでウニのもつクリーミーな物性が変わってしまう。よって基本的に本州ではミョウバンフリーのウニを食べることはでいない。ミョウバンフリーのウニを食べるには鮮度が本当に高いものを食べる、つまりその産地である北海道の奥尻島に行くことがその解の一つなのである。
よって、奥尻島に行ったら、ちょっと高くてもちゃんとしたミョウバンフリーのウニを喰らおう。
②津波を学ぶ
奥尻島は1993年のマグニチュード7.8の北海道南西沖地震による津波で大きな災害を受けている。死者198名を出した痛ましい災害だ。
推定震度は6。推定である理由は、奥尻島に震度計がなかったためである。
奥尻島の南部にある奥尻島津波館では、奥尻島の成り立ちから津波の対応の様子、復興を写真や展示で知ることができる。また随時館内案内もしてくださっており、直接津波の時の状況を伺うことができる。大人520円、ガイド無料。こちら。
屋外にはモニュメントがあり、海に臨むことができる。
③球島山(きゅうじまやま)の展望
奥尻島には標高369.3メートルの球島山がある。
自動車の場合、階段をちょこっと登ると頂上にたどり着くことができ、島の展望を味わうことができる、大変穏やかなところだ。
ちゃんと歩く場合、登山口から約1.5時間、5.5kmで山頂にたどり着く。夏の夜にはイカ漁の漁火、満天の星空。
詳細はこちら。
なお、奥尻島最高峰である標高584メートルの神威山は、自衛隊のレーダー基地になっているとかで頭頂することはできない。
④最北端 道南霊場 賽の河原
奥尻島の最北端には「賽の河原」と呼ばれる霊場がある。道南五霊場の一つである。
ストゥーバが建てられ、また石積があるが、ここで多くの方が犠牲になったと言うわけではないため安心して欲しい。あくまでも供養のためである。
賽の河原のすぐ近くには「北の岬 さくらばな」があり、お土産物・食堂となっている。ここの食堂、海鮮カレーやウニラーメンといった絶品メニューがあるため、ぜひ訪れて欲しい。ソフトクリームもある。
⑤神威脇温泉
島唯一の温泉。鉄っぽい香りの茶色い温泉で、ありがたみがある。熱め。一階と二階が脱衣所別で二つに分かれているが湯は同じ。
人は長めの良い二階に集まる傾向があるため、一階で「暑い熱い」言いながら入るのも一興。
なお徒歩圏内に奥尻ワイナリーもあり、試飲することもできる。
番外編:宿泊は奥尻ゲストハウスimacocoで
神威脇温泉の近くに「奥尻ゲストハウスimacoco」という民宿がある。非常にアットホームなところで、温かく迎え入れてくれる。掲示物や置いてある書籍から運営している方も相当な旅好きと見た。
私たちが訪れたタイミングで子供たちがスイカ割りをしており、お相伴を預かることができた。夏休みだ。星空も満喫。
奥尻ゲストハウスimacocoはこちら。
二泊以上する方はアクティビティを!
魅力あふれる奥尻島だが、二泊以上すると時間的余裕があるかもしれない。
奥尻島ではSUP等のアクティビティを楽しむことができる。奥尻ゲストハウスimacocoで予約ができる。
奥尻島へのアクセスは?
奥尻島へのアクセスは空路・海路のいずれでもできる。
空路の場合、函館空港から、時期によっては札幌丘珠空港から。
海路の場合は江差からハートランドフェリーが運航。函館まで飛行機等で行って一泊、翌朝レンタカーで江差(1.5時間ほど)、クルマごとフェリーに乗り込んで奥尻島まで行くとスムーズだろう。
ハートランドフェリーの時刻表はこちら。
* * *
ウニも海もワインも。離島の魅力を奥尻島で感じよう。
コメント