毎年大規模な災害が日本を襲い、災害避難者が発生している。
日本では馴染みがないが、そのような災害被害者や紛争被害者が尊厳のある生活を送ることを目的に定めた基準がある。スフィア基準である。
スフィア基準とは
人道検証と人道対応に関する最低基準、通称スフィア基準は1997年にNGOグループと国際赤十字・赤新月運動が開始したスフィアプロジェクトで1998年に策定された基準。スフィアプロジェクトは人道支援活動を行う国際機関やNGOなどによるボランタリーな活動で、
・災害や紛争の被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある
・災害や紛争による苦痛を軽減するために実行可能なあらゆる手段が尽くされるべきである
という二つの理念に基づいた活動。
この活動をもとに、1994年にルワンダ紛争による避難民がアフリカ大湖沼地域の難民キャンプで打数死亡したことがきっかけで誕生した。
※赤新月社(Red Crescent Society):イスラム圏では十字を嫌うため赤新月を使用
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スフィア基準の要素
スフィア基準は「人道検証、権利保護の原則、コア基準」及び生活保護のために必要不可欠な4つの要素を定めている。4つの要素とは
(1)給水、衛生、衛生促進
(2)食料の確保と栄養
(3)シェルター、居留地、ノンフードアイテム
(4)保健活動
であり、それら各分野における最低基準を定めている。
行動規範:10の主原則
スフィアハンドブック(2018)より行動規範を抜粋した。
(1)人道的検知からなされることを第一に考える。
(2)支援はそれを受ける人びとの人種、信条、あるいは国籍に関係なく、またいかなる差別もなく行われる。支援の優先度はその必要性に基づいてのみ決定される。
(3)支援は、特定の政治的あるいは宗教的立場の拡大手段として利用されてはならない。
(4)私たちは、政府による外交政策の手段として行動することがないように努める。
(5)私たちは、文化と慣習を尊重する。
(6)私たちは、地域の対応能力に基づいて支援活動を行うように努める。
(7)支援活動による受益者が支援の運営に参加できるような方策を立てることが必要である。
(8)支援は、基本的ニーズを満たすと同時に、将来の災害に対する脆弱性を軽減させることにも向けられなければならない。
(9)私たちは支援の対象となる人びとと、私たちに寄付をしていただく人びとの双方に対して説明責任を有する。
(10)私たちの行う情報提供、広報、宣伝活動において、災害等の影響を受けた人々と、希望を失った存在ではなく、尊厳ある人間として取り扱う本とする。
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基準に満たされていないことは批判されることではない
日本ではトイレの数や水の供給量が合っていないことなどが批判されることがある。
スフィア基準に達していないことは批判されることではない。それに向けた努力をし、
・災害や紛争の被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利がある
・災害や紛争による苦痛を軽減するために実行可能なあらゆる手段が尽くされるべきである
の達成に近づこうという努力こそが求められるのである。
もっと知りたい方はこちらから。そもそもこの災害大国日本の避難先が「体育館」なのはいつまで続くのだろうか。
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